親ごころ

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その一座はちりぢりばらばらになってしまった。立派な屋敷で暮していたある老婦人が、ジャンを可愛い子と思ったので、一日、その身の代金を払って、自分の手もとに引き取った。なかなか利発な子だったので学校にあげた。済むとまた上の学校に通わせた。この老婦人には子供がなかったので、持っていた財産はそッくり彼のものになった。そして、ジャンのほうでも、生みの父母を探していたのだったが、何せ、覚えているのは、「お父ッさんのピエール」と「おッ母さんのジャンヌ」という二つの名前ばかりである。探そうにも、探しだす手だてがなかったのである。彼はいま妻を迎えようとしていた。そして自分の妻になる女を両親に引き合わせた。気だての優しい、容色もなかなかいい女だった。

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