芋粥

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数字すうじJISX0213めん区点くてん番号ばんごうまたUnicode底本ていほんページぺーじ行数ぎょうすう
元慶がんぎょうすえ仁和にんなはじめあつはなしあらう
どちら時代じだいさしこのはなし大事だいじやく勤めつとめない
読者どくしゃただ平安へいあんあさ云ふいふ遠いとおいむかし背景はいけいなつゐる云ふいふことつてさへくれれよいある
そのころ摂政せっしょう藤原ふじわら基経もとつね仕へつかへゐるさむらいなかぼう云ふいふ五位ごいあつ
これぼう書かかかなんだれちやんと姓名せいめいあきらたいある生憎あいにく旧記きゅうきそれつてはつない
恐らくおそらく実際じっさいつてはる資格しかくないほど平凡へいぼんおとこだつあらう
一体いったい旧記きゅうき著者ちょしゃなど云ふいふもの平凡へいぼん人間にんげんはなし余りあまり興味きょうみ持たもたかつらしい
このてんかれとう日本にっぽん自然しぜん作家さっかおお分ちわかちがふ
王朝おうちょう時代じだい小説家しょうせつか存外ぞんがい閑人ひまじんない
兎に角とにかく摂政せっしょう藤原ふじわら基経もとつね仕へつかへゐるさむらいなかぼう云ふいふ五位ごいあつ
これこのはなし主人公しゅじんこうある
五位ごい風采ふうさいじん揚らあがらないおとこあつ
第一だいいち低いひくい
それから赤鼻あかはな眼尻めじりしたゐる
口髭くちひげ勿論もちろん薄いうすい
ほおこけゐるからおとがい人並ひとなみはづれ細くほそく見えるみえる
くちびる一々いちいちすう立てたてゐれ際限さいげんない
われくらい外貌がいぼうそれほど非凡ひぼんだらしなく出来できうえある
このおとこ何時なんじどう基経もとつね仕へつかへやうなつそれだれない
余程よほど以前いぜんから同じおなじやういろ褪めさめ水干すいかん同じおなじやう萎々烏帽子えぼしかけ同じおなじやう役目やくめ飽きあき毎日まいにち繰返しくりかえしゐることだけかくある
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五位ごい四十よんじゅう越しこし
その代りかわり生れうまれからあの通りとおりかんさう赤鼻あかはなかたちばかり口髭くちひげ朱雀すざく大路おおじ衢風吹かふか云ふいふする
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じゅうかれとう手真似てまねよう弁じべんじないこと時々ときどきある
かれとうそれ全然ぜんぜん五位ごい悟性ごせい欠陥けっかんあるから思つおもつゐるらしい
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それ五位ごいはら立てたてことない
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敦賀つるが申すもうすあの越前えちぜん敦賀つるがござるあの越前えちぜん 利仁としひと敦賀つるがひと藤原ふじわら有仁ありひと女婿じょせいなつから多くおおく敦賀つるが住んすんゐる云ふいふこと日頃ひごろから聞いきいないことない
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五位ごいわれ忘れわすれ利仁としひとあとつた
従者じゅうしゃ勿論もちろん遅れおくれられない
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五位ごいうすいひげたまるあせ慌しくあわただしく拭きふきながらすすむそのそばうま乗りつけのりつけ
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 云ひいひ畢るおわるとも利仁としひといちふり振つふるつきつね遠くとおくくさむらなか抛り出しほうりだし
いや走るはしる走るはしる やつ追ひおひつい二人ふたり従者じゅうしゃ逃げにげゆくきつね行方ゆくえ眺めながめながら拍つうつ囃し立てはやしたてて
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きつね追つおつゐるなか何時なんじかれとう曠野こうや緩いゆりい斜面しゃめんさくみず涸れかれ川床かわどこいちなるその丁度ちょうどうえところからある
広量こうりょう使ござるのう 五位ごいナイイヴないいゔ尊敬そんけい讃嘆さんたん洩らしもらしながらこのきつねさへ頤使いしする野育ちのそだち武人ぶじんかお今更いまさらやう仰いおっしゃい
自分じぶん利仁としひとどれほど懸隔けんかくあるそんなこと考へるかんがへるひまない
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大正たいしょうねんはちつき
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