自転車日記

1/1

全文

1
西暦せいれき一千九百二いっせんきゅうひゃくにねんあきわすれつきわすれ白旗しらはた寝室しんしつまどこぼし下宿げしゅくばあさんこう乞うこういなばあさん二十にじゅうぬき体躯たいくさんかい天辺てっぺんまで運び上げはこびあげかかる運び上げるはこびあげるいうべき上げあげかかる申すもうす手間てまかかる形容けいようためなり階段かいだん上るのぼること無慮むりょ四十よんじゅう二級にきゅう途中とちゅうにて休憩きゅうけいすること前後ぜんごかい費すついやすことさんぶんセコンドせこんどあとこの偉大いだいなるばあさん得意とくいなるべき顔面がんめん苦しくるし戸口とぐちヌッぬっ出現しゅつげんするあたり近所きんじょ狭苦しせまくるしばかりこの会見かいけんえい肩身かたみ狭くせまく双肩そうけん荷えになえ向っむかっばあさん媾和こうわ条件じょうけんだいいちかん命令めいれいまとひだりごとく申し渡しもうしわたし
自転車じてんしゃ乗んのんなさい
ああいかなこの自転車じてんしゃ事件じけんたるついにばあさんいのち従っしたがっ自転車じてんしゃ乗るのるべくいな自転車じてんしゃよりおちべくラヴェンダーらゔぇんだーヒルひる参らまいらざるべからざる不運ふうん際会さいかいせり監督かんとくけん教師きょうしなり悄然しょうぜんたる従えしたがえ自転車じてんしゃ飛び込みとびこみたるかれまずおんなのり手頃てごろなるやつ撰んえらんこれよかろう云ういうその理由りゆういかに尋ぬるたずぬる初学しょがく入門にゅうもん捷径しょうけいこれ限るかぎる降参こうさんひととっいや軽蔑けいべつ文句もんく並べるならべる不肖ふしょうなりいえ軽少けいしょうながら鼻下びかひげ蓄えたくわえたる男子だんしおんな自転車じてんしゃ稽古けいこしろ情ないなさけないまあ落ちおち善いよいから当り前あたりまえやつやっみよう抗議こうぎ申し込むもうしこむもし採用さいようなかったら丈夫じょうぶ玉砕ぎょくさい瓦全がぜん恥ずはずなんちん汾漢吐こうはこう暗にあんにしたこしらえ黙っだまっいるそれならこれしよういとも見苦しみぐるしかりけるおとこのりあてがいける思えおもえらくのうものふで択ばえらばどうせ落ちるおちるからくるま美醜びしゅうなど構うかまうものあてがわたるくるまじゅうそう引張りひっぱり出すだす不平ふへいなるちから出しだしうえからウンとうんと押しおし見るみるギーぎー鳴るなることなり伏しふし惟れおもんみれ関節かんせつ弛んゆるん油気あぶらけなくなっ老朽ろうきゅう自転車じてんしゃ万里ばんり波濤はとう超えこえ遥々はるばる逢いあいようものある自転車じてんしゃ恩給おんきゅう年限ねんげんない知らしらちょっと不審ふしん起しおこしみる思うおもうその年限ねんげんしつむかし今までいままで物置ものおきすみ閑居かんきょ静養せいよう専らもっぱらやつない計らはからざり東洋とうよう孤客こかく引きずりひきずり出さださ奔命ほんめい悲鳴ひめい上るのぼる至っいたっ自転車じてんしゃ末路まつろまた憐むあわれむべきものありせめて降参こうさんはらいえこの老骨ろうこつギューぎゅう云わしいわしやらもの乗らのらさきから当人とうにんしきり乗り気のりきなる然るしかるハンドルはんどるなるもの神経しんけい過敏かびんにてこちら引けひけまたぶつかりむかい押しやるおしやる往来おうらい真中まなかはせけ出そうけだそうする乗らのらうちからかくごとく処置しょち窮するきゅうするところもっ見れみれ乗っのっあとこと思いやるおもいやるだになみだしゅ知らしらけるどこ行っいっ乗ろうのろうどこって今日きょう初めてはじめて乗るのるからなるたけひと通らとおらないみち悪くわるくない落ちおちひと笑わわらわないようところ願いねがいたい降参こうさんひとながらいろいろ条件じょうけん提出ていしゅつする仁恵じんけいなる監督官かんとくかん衷情ちゅうじょう憐んあわれんクラパムくらぱむコンモンこんもん傍人ぼうじんあとあまり繁からしげるからざる大道だいどう横手よこてうま乗場のりば拉しらっし去るさるしかしあとさあここ乗っのっまえいういよいよ降参こうさんひと降参こうさんひとたる本領ほんりょう発揮はっきざるとくざる至っいたっああおっと 乗っのっまえすでに知己ちきあらそのむかし本国ほんごくあっ時めきときめき時代じだいより天涯てんがい万里ばんり孤城こじょう落日らくじつ資金しきん窮乏きゅうぼう今日きょう至るいたるまでひと乗るのることある自分じぶん乗っのっおぼえ毛頭もうとうない去るさる乗っのっまえあまり無慈悲むじひなる一言ひとこと怒髪どはつ鳥打帽とりうちぼうしょう猛然もうぜんハンドルはんどる握っにぎっまであっぱれ武者むしゃぶりたのもしかっいよいよくら跨っまたがっ盻勇示すしめす一段いちだんなるあつらえ通りとおり参らまいらないいざいう間際まぎわずどんおちことみょうなり自転車じてんしゃぎゃくたてなん至極しごく落ちつきおちつきはらっもの乗客じょうきゃくだけまさに鞍壺くらつぼたまらずんでんどうこけるかつて講釈師こうしゃくしきき通りとおりあたり自らみずから実行じっこうするあにはから 監督官かんとくかん云ういう初めはじめからこし据えようすえようなどいう間違っまちがっいるペダルぺだるあしかけよう駄目だめただしがみついくるまいち回転かいてんすれ上出来じょうでき心細いこころぼそいこと限りなしかぎりなしああわれこときゅういくらしがみついくるまはん輪転りんてんないわれこときゅうしきりかんなげ繰り返しくりかえし暗にあんに助勢じょせい嘆願たんがんするかくあら兼てかねて期しきしたる監督官かんとくかんなれ近くちかく進んすすんさあぼくしっかり抑えおさえいるから乗りのりたまえおっとそう真ともまとも乗っのっいただき返るかえるそらまえひざたろう今度こんどそーっとしりかけ両手りょうてここ握っにぎっよしぼくまえ押し出すおしだすからそのいきおい調子ちょうし乗っのっはせけ出すけだすこわがるもの面白おもしろ半分はんぶんまえ突き出すつきだす然るしかるすべてこれ準備じゅんびすべてこれ労力ろうりょく突き出さつきだされる瞬間しゅんかんおい砂地すなじ横面よこつら抛りほうりつけるため準備じゅんびかつ労力ろうりょくならじつかみならだれ知るしるべきそこ驚愕きょうがくある
ちらほらひと立ちどまったちどまっ見るみるにやにや笑っわらっ行くいくものある向うむこうかしした乳母うばさん小供こどもつれロハ台ろはだいこしかけさっきからしきり感服かんぷくいるなん感服かんぷくいる分らわからないおおかた流汗りゅうかん淋漓りんり大童おおわらわなっ自転車じてんしゃ奮闘ふんとうつつある健気けなげ様子ようす見とれみとれいるだろう天涯てんがいこのよしみ知己ちき得るうる以上いじょうむかいすね二三にさんカ所かしょ擦りむいすりむいたって惜しくおしくないいうなるもう一遍いちぺん頼むたのむもっと強くつよく押しおしくれまえなにまた落ちるおちる 落ちおちたってぼく身体しんたい降参こうさんひとたる資格しかく忘れわすれしきりあせ吹いふいいるする出しだしぬけ後ろうしろからSir!
呼んよんものあるはてな滅多めった異人いじん近づきちかづきないはずふり返るふりかえるちょっとひと狼狽ろうばいしむる足るたるまとおお巡査じゅんさヌーッぬーっ立ったっいるこちらこんなひと近づきちかづきない先方せんぽうこのポットぽっとチンチクリンちんちくりん田舎者いなかもの近づかちかづかざるべからざる理由りゆうあっまさに近づいちかづいもの見えるみえるその理由りゆう曰くいわくここうま乗るのるところ自転車じてんしゃ乗るのるところないから自転車じてんしゃ稽古けいこするなら往来おうらいやらしゃオーライおーらい謹んつつしんいのちりょうすと混淆こんこうしきこたえ博学はくがく程度ていど見せみせすぐさまこれ監督官かんとくかん申出るもうしでる監督官かんとくかん降参こうさんひと今日きょう凹みへこみ加減かげん充分じゅうぶん思いおもいけんもう帰ろうかえろうじゃない云ういうすなわち乗れのれざる自転車じてんしゃ携えたずさえ帰るかえるどうでしばあさんもんまけ意気いきもらすらくくるま嘶いいなない白日はくじつ暮れくれ耳鳴みみなりって秋気しゅうき来るくるヘンへん わすれつきわすれ れい自転車じてんしゃ抱いいだいさかうえ控えひかえたる徐ろにおもむろに放っはなっ遥かはるかあなたした見廻すみまわす監督官かんとくかん相図あいず待っまっ一気いっきこのさかはせ下りんおりん野心やしんあれなりさか長さながさてい傾斜けいしゃ角度かくど二十にじゅうばかり路幅みちはばじゅう超えこえひと通多つうさわから左右さゆうゆかしく住みなせすみなせ屋敷やしきばかりなり東洋とうよう名士めいし自転車じてんしゃからおち稽古けいこする聞いきいえい政府せいふ特にとくに土木どぼくきょく命じめいじこの道路どうろ作らつくらしめどうそのへんいまだ判然はんぜんないとにかく自転車じてんしゃよう道路どうろ申分もうしぶんない場所ばしょある監督官かんとくかん巡査じゅんさ小言こごとたん冷しひやしもの乃至ないしまたくるままえ突き出すつきだす労力ろうりょく省くはぶくため昨日きのうからひとくるま天然てんねん自然しぜんころがすべく特にとくにこの相しそうしとく連れだしつれだしある ひと通らとおらない馬車ばしゃかよわない時機じき見計っみはからったる監督官かんとくかんさあいま早くはやく乗りのりたまえいうただしこの乗るのるいう註釈ちゅうしゃく入るはいるこのわれ両人りょうにんいまだ普通ふつう意味いみようられないわがいわゆる乗るのるかれいわゆる乗るのるあらざるなりくらしりおろさざるなりペダルぺだるあしかけざるなりただ力学りきがく原理げんり依頼いらい毫もごうも人工じんこう弄せろうせざるなりひとよけうま避けさけ水火すいか辞せじせ驀地まっしぐら前進ぜんしんするなり去るさるほどその格好かっこうたるあたかも疝気せんきもち初出しょしゅつ梯子はしごのり演ずるえんずるごとくわれながら乗るのるいう濫用らんようおら危ぶむあやぶむくらいものあるされど乗るのるついに乗るのるなり乗らのらざるあらざるなりともかく人間にんげん自転車じてんしゃ附着ふちゃくいるしかも一気呵成いっきかせい附着ふちゃくいるなりこの意味いみおい乗るのるべく命ぜめいぜられたる疾風しっぷうごとくさかうえから転がりころがり出すだすする不思議ふしぎひだりほう屋敷やしきうちから拍手はくしゅ吾がわが自転じてんこうそういたずらものあるみょう思うおもうなくくるますでにさか中腹ちゅうふくかかる今度こんど大変たいへんもの出逢っであっ女学生じょがくせい十人じゅうにんばかり行列ぎょうれつ整えととのえむかいからやっくるこうなっいくらおんな手前てまえから言っいっ気取るきどるわけどうするわけ行かいか両手りょうて塞っふさがっいるこし曲っきょくっいるみぎあしそらいる下りようおりようくるまほう聞かきかない絶体絶命ぜったいぜつめいようないから自家じか独得どくとくきょくのりまま女軍じょぐんそばからく通り抜けるとおりぬける
ほっと一息ひといきつくなくくるますでにさか下りくだり平地へいちありけれど毫もごうも留まるとまる気色けしきないしかのみなら向うむこうよんかくたている巡査じゅんさほう向けむけどんどんはせ行くいくない今日きょう巡査じゅんさ叱らしかられること思いおもいながらやはりきょくのり姿勢しせいくずすわけ行かいかない自転車じてんしゃわれ無理むり情死じょうし逼るせまるいきおいむやみ人道じんどうほう猛進もうしんするとうとう車道しゃどうから人道じんどう乗り上げのりあげそれ止まらとまらない板塀いたべいぶつかっぎゃくれいすることいちはん危くあやうく巡査じゅんさ去るさるさんさし距離きょりとまっ
大分おおいたほね折れおれましょうわらいながらこう申さもうさ答えこたえ曰くいわくイエスいえす わすれつきわすれ調べしらべなるブリチッシュミュジーアム出かけでかけなりますあすこあまり参りまいりませほんやたらノートのーと書きつけかきつけたりぼう引いひいたりするくせあるものですからさよう自分じぶんほんほう自由じゆう使えつかえぜんですしかしわたくしなど著作ちょさくしよう思うおもうあすこ出かけでかけます夏目なつめさん大変たいへん勉強べんきょうそうです細君さいくんそばからくち開くひらくあまり勉強べんきょうませ近頃ちかごろひとから勧めすすめられ自転車じてんしゃ始めはじめものですからあさからばんまでそればかりやっます自転車じてんしゃ面白うおもしろうござんたくみんな乗りのりますあなたやはり遠乗とおのりなさいましょう遠乗とおのりもっ細君さいくんから擬せぎせられ先生せんせいじつ普通ふつう意味いみおい乗るのるちょうこといかなるものなるさえ解しかいしとくざるおとこなりただ一種いっしゅ曲解きょっかいられたる意味いみもっさかうえからさかしたまで辛うじてかろうじて乗りのりおわりおとこなり遠乗とおのり承っうけたまわっこころ安からあんから思いおもいかかりじか云ういうことだい天性てんせいまで進化しんか二十にじゅう世紀せいき今日きょうこのてんかけ一人前いちにんまえ通用つうようする人物じんぶつなれ如才じょさいなくしたごとく返答へんとうさよう遠乗とおのりいうほどことまだませさかうえからしたほういきおいよく乗りのりおろすなんかすこぶる愉快ゆかいです 今までいままで沈黙ちんもく守っまもっおっ令嬢れいじょうこいつ少しすこしのりきるかんもの見えみえいつ夏目なつめさんいっしょみなウィンブルドンうぃんぶるどん行っいったらどうでしょうちちきみははうえ向っむかっ動議どうぎ提出ていしゅつするちちきみははうえ一斉いっせいかお見るみるここおい少々しょうしょう尻こそばしりこそばゆき状態じょうたい陥るおちいるやむざる至れいたれさりながら妙齢みょうれいなる美人びじんより申し込まもうしこまたるこの果し状はたしじょう真平まっぴら御免ごめん蒙るこうむる握りつぶすにぎりつぶすわけ行かいかないいやしく文明ぶんめい教育きょういく受けうけたる紳士しんし婦人ふじん対するたいする尊敬そんけい失ししっし生涯しょうがい不面目ふめんぼくかつこれこれ咽喉のど扼しやくしつつあるすんぶんハイカラはいから手前てまえあることからことさらに平気へいき愉快ゆかい等分とうぶん加味かみかおそれ面白いおもしろいでしょうしかし勉強べんきょう忙しいいそがしいでしょう今度こんど土曜どようぐらいかんいらっしゃいましょうだんだん切り込んきりこんくるしかしあと必ずかならずしも多忙たぼう来るくる限っかぎっおらない自分じぶんながらなんためしかしまだ判然はんぜんざるうちこうさき越さこさいよいよしかし納りおさまりなくなるしかしあまり人通りひとどおり多いおおいところエーえーアノーあのーまだ練れねれませからようやく一方いっぽう活路かつろ開くひらくいないえあのへん道路どうろじつ閑静かんせいものですすぐ通せん坊とおせんぼうれる進退しんたいこれきわまるただ自転車じてんしゃうえのみにてあらざりけり独りひとり感心かんしんいる感心かんしんばかりらちあかないからこのさい唯一ゆいいつ手段しゅだんしかしもう一遍いちぺん繰り返すくりかえすしかし今度こんど土曜どよう天気てんきでしょう旗幟きし鮮明せんめいならざること夥しいおびただしいだれ聞いきいたってそんなこと分るわかるものさてもこ勝負しょうぶおとこほうたりけん審判官しんぱんかんたる主人しゅじん仲裁ちゅうさいくち開いひらい曰くいわくきめいずれそのうちわたくし自転車じてんしゃたく伺いうかがいましょうそしていっしょ散歩さんぽましょうサイクリストさいくりすと向っむかっいっしょ散歩さんぽましょうこれいかにかれ目しもくしサイクリストさいくりすとたる資格しかくなきもの認定にんていなり このうつくし令嬢れいじょうウィンブルドンうぃんぶるどん行かいかなかっみゆきあるはた不幸ふこうある考うるかんがうること四十八よんじゅうはち時間じかんついに判然はんぜんなかっ日本にっぽん俳諧師はいかいしこれ称ししょうし朦朧体もうろうたいいう わすれつきわすれ すう手痛ていた経験けいけん精緻せいちなる思索しさくよっした結論けつろん到着とうちゃく
自転車じてんしゃくらペダルぺだるなん世間体せけんたい繕うつくろうため漫然まんぜん附着ふちゃくいるものないくらしりかけるためくらペダルぺだるあし載せのせかつ踏みつけるふみつける回転かいてんするためペダルぺだるなりハンドルはんどるもっとも危険きけん道具どうぐ一度いちどこれ握るにぎるとき人目ひとめまばゆしむる足るたるいさむしき働きはたらきなすものなり
かくうるしおけ抜くぬくごとく自転じてんさとる開きひらきたる今例こんれい監督官かんとくかん及びおよびそのともなる貴公子きこうしぼう伯爵はくしゃくとも連ねつらねクラパムコンモン横ぎりよこぎり鉄道馬車てつどうばしゃ通うかよう大通りおおどおり曲らきょくらするところ思いおもいたまえくるま両君りょうくん介在かいざい操縦そうじゅうすでに自由じゆうならただまえられるばかり思いおもいたまえしかるられべき一方いっぽうくち突然とつぜん塞っふさがっ思いおもいたまえすなわち横ぎりよこぎりかかる塗炭とたんみぎほうより不都合ふつごうなるいちりょう荷車にぐるま御免ごめんなん云わいわ傲然ごうぜんわれまえ通っとおっ今までいままで態度たいど維持いじすれ衝突しょうとつするばかりだろう主義しゅぎ衝突しょうとつこちら勝つかつ場合ばあいついのみあえてするそのほかいろ見えすいみえすいよう衝突しょうとつなるいつ御免ごめん蒙るこうむるわれいえ伝来でんらい憲法けんぽうあるさるよっこの尨大ぼうだいなる荷車にぐるま老朽ろうきゅう悲鳴ひめいあげるほど吾がわが自転車じてんしゃ衝突しょうとつおやじ遺言ゆいごん避けさけなら云っいっ左右さゆうよけようする両君りょうくんうちいずれ衝突しょうとつしりもっ行かいかならもったいなく一人ひとり伯爵はくしゃく若殿わかとのよう一人ひとり吾がわが恩師おんしあるさよう無礼ぶれいこと平民へいみんたる我々われわれ風情ふぜいまじきことあるのみなら捕虜ほりょ分際ぶんざい推参すいさん所作しょさ思わおもわべしこうなら欲すれほっすれれいなられいなら欲すれほっすれこうならやむなく退却たいきゃくおちくるまあるのみちょっと相場そうばきまっしまっこの時事じじ臨んのぞんかつて狼狽ろうばいたることなきわれつらつら思うおもうようできさえすれ退却たいきゃく満更まんざらない少なくすくなくともおちくるま優るまさること万々ばんばんなりいえおっとぎゃく用意よういいまだ調わととのわざる今日きょう時勢じせいなれエーえー仕方しかたない思い切っおもいきっおちくるましろ両車りょうしゃどう落つおつおりしも去るさることばかりところ退屈たいくつそう立ったっ巡査じゅんさ自転車じてんしゃ巡査じゅんさおけそれ刺身さしみツマつまおけごときなんそれ引き合ひきあい出るでるはなはだしきこのツマつままと巡査じゅんさこえ揚げあげアハあはアハあはアハあはさん笑っわらっ
その笑いわらいほう苦笑くしょうあら冷笑れいしょうあら微笑びしょうあらカンラカラカラわらいあら全くまったく作りつくりわらいなりひとから頼またのまする依托いたくわらいなりこの依托いたくわらいするためこの巡査じゅんさシックスしっくすペンスぺんすとくワンわんシリングしりんぐとく遺憾いかんながらこれ考究こうきゅうするひまなかっ へんツマつま巡査じゅんさなど笑っわらったってすぐさま両君りょうくんあと慕っしたっはせけ出すけだすこれじゅんこうなくっ先日せんじつ御娘おむすさんだったらやはりすぐさまはせけ出さけだされるどう問題もんだいいざならなけれ解釈かいしゃくつかないから質問しつもんないほういいさき進むすすむさて両君りょうくんこのへん地理ちり不案内ふあんないなり口実こうじつもっ覚束なおぼつかな先導せんどうたるべし厳命げんめい伝えつたえしかる案内あんない詳しいくわしい自転車じてんしゃ毫もごうも詳しくくわしくないから行こういこう思うおもうほう行かいかない曲り角まがりかどくるただ曲りまがりやすいほう曲っきょくっしまうここおい同じおなじところなんかえし来るくる始めはじめうちなんかんごまかしそう持ちもち切れるきれるものない今度こんど違っちがっほう行こういこう御意ぎょいあるよろしいくち云っいっようものままなら浮世うきよ容易よういそっち方角ほうがく曲らきょくらない道幅みちはばさんぶんころやっとおもうハンドルはんどるギューッぎゅーっ捩っもじったら自転車じてんしゃ九十きゅうじゅう角度かくど一どきいちどき廻っまわっしまっそのきゅう廻転かいてんため思いがけおもいがけなき功名こうみょう博しはくしとく云ういう話しはなし明日あすまえこうなかいう価値かちないからすぐ話しはなししまうこのまでつかなかっこの急劇きゅうげきなる方向転換ほうこうてんかん刹那せつな同じおなじ方角ほうがく向けむけ尾行びこう一人ひとりサイクリストさいくりすとあっところこの不意ふいげき驚いおどろいくるまかわすひまなくもろくそば転がり落ちころがりおちあと聞けきけよんかく曲るまがるベルべる鳴すなかす片手かたてあげる一通りひととおり挨拶あいさつするれいそうおちてん奇想きそう好むこのむさよう月並つきなみ主義しゅぎ採らとらないいわんやベルべる鳴しなかしたり挙げあげたりそんな面倒めんどうことする余裕よゆうこのさい少しすこしなきおいここおいこのダンマリだんまり転換てんかん遂行すいこうするとっまんやむざるものあとくっついおとこ吃驚びっくりおちくるままた無理むりないところある双方そうほうとも無理むりないところあるから不思議ふしぎない当然とうぜんことある西洋せいようひと論理ろんりこれほどまで発達はったつおら見えみえかれ落ち人おちびとおお逆鱗げきりんからだチンチンチャイナマン罵っののしっ罵らののしらたる一矢いっしむくいゆるはずあるそこおおゆうなる豪傑ごうけつ本性ほんしょうあらわし気の毒きのどく一言ひとこと遺しのこしふりむかい曲っきょくっ行くいくじつふり向こうふりむこうするうちくるま通り過ぎとおりすぎある気の毒きのどくよりほかなかっある正直しょうじきなる苟且豪傑ごうけつなど云ういう一種いっしゅ曲者くせものらるる恐れおそれここゆっくり弁解べんかいおくなり万一まんいち豪傑ごうけつなど買被っかいかぶっ失敬しっけい挙動きょどうあるおい七生ななおまで祟るたたる知れしれない わすれつきわすれ 人間にんげん万事ばんじ漱石そうせき自転車じてんしゃ自分じぶん落ちるおちる思うおもうひと落すおとすことあるそんな落胆らくたんものない今日きょうズーズーしくずーずーしく構えかまえバタシーばたしー公園こうえん急ぐいそぐ公園こうえんすこぶる閑静かんせいその手前てまえさんていばかりところ非常ひじょう雑沓ざっとう通りとおり初学しょがくものたるとっ難透なんとうなんとおる難関なんかんあるいましも自転車じてんしゃラヴェンダーらゔぇんだーさか無難ぶなん通り抜けとおりぬけこのよんつう八達はったつ中央ちゅうおう乗り出すのりだす向うむこう鉄道馬車てつどうばしゃいちだいこちら向いむかい休んやすんいるその右側みぎがわ非常ひじょうおおなる荷車にぐるま向うむきむこうむき休んやすんいるそのやくよんさしばかりこのよんさしすり抜けるすりぬけるべくくるま走らしはしらしあるくるま前輪ぜんりん馬車馬ばしゃば前足まえあし並んならんすなわち身体しんたい鉄道馬車てつどうばしゃ荷車にぐるま這入りはいりかけいちだい自転車じてんしゃ疾風しっぷうごとくむかいから割り込んわりこんかようとっささいいのち大事だいじから退却たいきゃくしようおちくるましようなど分別ぶんべつさすが吾輩わがはいなかっ見えみえおや思っおもったら身体しんたいもう落ちおちおっ落方おちかた少々しょうしょうまずかっおちひだりしたたかうまふとしはら叩いたたいからくよん這のこの不体裁ふていさい免がれまぬがれやれうれし思うおもうなく鉄道馬車てつどうばしゃ前進ぜんしん始めるはじめるうま驚ろいおどろい吾輩わがはい自転車じてんしゃ蹴飛すけとばす相手あいて自転車じてんしゃなん喰わくわかおすう抜けぬけ行くいくぬけ加減かげん尋常じんじょう一様いちようあらこの派出はしゅつなるギグぎぐ乗っのっ後ろうしろからはせ来りきたりたるいち紳士しんしさく揚げあげざまほう顧みかえりみ曰くいわく大丈夫だいじょうぶ安心あんしんまえ殺しころしないから心中しんじゅうひそか驚いおどろい云ういう見るみる自転車じてんしゃ乗せのせ殺しころししまうあるかしらん英国えいこく険呑けんのんところ
                    
廿にじゅうぬきばあさん降参こうさん自転車じてんしゃせめ遇っあっより以来いらいおおおちしょうおちそのすう知らしらある石垣いしがきぶつかっむかいすね擦りむきすりむき或るある立木たちき突き当っつきあたっ生爪なまづめ剥がすはがすその苦戦くせん云ういうばかりなししかしついにものならざるなり元来がんらいこの二十にじゅうぬきばあさんむやみひと馬鹿ばかするばあさんこのばあさん皮肉ひにくひと馬鹿ばかするそのいもうと十一じゅういちぬきばあさん瞬きまばたき黄色きいろめん守りまもりいかなる変化へんか眉目びもく現るるあらわるる検査けんさする役目やくめ務めるつとめる役目やくめ御苦労ごくろう至りいたりこの婆さんばあさん呵責かしゃくより以来いらい猜疑心さいぎしんますます深くふかくなり継子けいし根性こんじょう増長ぞうちょうついに明け放しあけはなし門戸もんこ閉鎖へいさわれ黄色きいろかおいよいよ黄色きいろするやむざる至れいたれかれ婆さんばあさん黄色きいろ深浅しんせん測っはかっかれいちプログラムぷろぐらむ定めるさだめるじつかれとっ黄色きいろ活動かつどう晴雨計せいうけいあったま降参こうさん申し込んもうしこんとくたるところ若干じゃっかん問えとえ貴重きちょう留学りゅうがく時間じかん浪費ろうひ下宿げしゅくめし二人ふたりまえ食いくい過ぎすぎさればこの降参こうさんわれえきなくかれそんありもの思惟しい無残むざんなる
1/1