二百十日

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ぶらり両手りょうてしでままけいさんどこから帰っかえっ来るくる
どこ行っいっちょっとまち歩行いあるいなん観るみるものあるてらいちのきあっそれから銀杏ぎんなんいちほん門前もんぜんあっそれから銀杏ぎんなんから本堂ほんどうまでいち丁半ちょうはんばかりいし敷き詰めしきつめあっ非常ひじょう細長いほそながいてらだっ這入っはいっやめそのほかなんない別段べつだんなんないいったいてら云ういうもの大概たいがいむらあるきみそう人間にんげん死ぬしぬところ必ずかならずあるはずじゃないなるほどそうけいさんくび捻るひねる
けいさん時々ときどきみょうこと感心かんしんする
しばらくねっくび真直まっすぐけいさんこう云っいっ
それから鍛冶屋かじやまえうまくつ替えるかえるところじつ巧みたくみものどうてらだけちと時間じかんなが過ぎるすぎる思っおもっうまくつそんな珍しいめずらしい珍らしくめずらしくなくっきみあれ使うつかう道具どうぐいく通りとおりある思うおもういく通りとおりあるあてまえあてなくっ好いよいから教えるおしえるなんななばかりあるそんなあるなんなんなんなんってたしかある第一だいいちつめはがすのみのみ敲くたたくつちそれからつめ削るけずる小刀しょうとうつめ刳るくるみょうものそれからそれからなんあるそれからへんものまだいろいろあるだいいちうまおとなしい驚ろいおどろいあんな削らけずら刳らくら平気へいきいるつめもの人間にんげんって平気へいきつめ剪るきるじゃない人間にんげんそううまきみうまって人間にんげんってつめ変りかわりないきみよっぽど呑気のんき呑気のんきからしかし薄暗いうすぐらいところ赤いあかいてつ打つうつ奇麗きれいぴちぴち火花ひばな出るでる出るでる東京とうきょう真中まなか出るでる東京とうきょう真中まなか出るでること出るでる感じかんじ違うちがうこう云ういうやまなか鍛冶屋かじやだいいちおとから違うちがうそらここまで聞えるきこえる 初秋しょしゅう日脚ひあしうそ寒くうそさむく遠いとおいくにほう傾いかたむい淋しいさびしい山里やまざと空気くうき心細いこころぼそい夕暮れゆうぐれ促がすうながすなかかあんかあんてつ打つうつおとする
聞えるきこえるだろうけいさん云ういう
うんろくさん答えこたえぎり黙然もくぜんいる
隣りとなり部屋へやなん二人ふたりしきりはなしいる
そこその相手あいて竹刀しない落しおとしだあするそのちょいと小手こて取っとっだあふうんとうとう小手こて取らとらとうとう小手こて取らとらだあちょいと小手こて取っとっそこそら竹刀しない落しおとしものからどうこうしようないやあふうん竹刀しない落しおとし竹刀しないそらさっき落しおとししまったあ竹刀しない落しおとししまっ小手こて取らとらたら困るこまるだろう困らこまらああ竹刀しない小手こて取らとらから 二人ふたり話しはなしどこまで行っいっ竹刀しない小手こて持ちもち切っきっいる
黙然もくぜん対坐たいざけいさんろくさんかお見合わしみあわしにやり笑っわらっ
かあんかあんてつ打つうつおと静かしずかむら響きひびき渡るわたる
かん走っはしっうえなん心細いこころぼそい
まだうまくつ打っうってるなん寒いさむいきみけいさん白いしろい浴衣ゆかたした堅くかたくなる
ろくさん同じくおなじく白地しろじ単衣ひとええりかき合せかきあわせだらしない膝頭ひざがしら行儀ぎょうぎよく揃えるそろえる
やがてけいさん云ういう
ぼく小供こども住んすんまち真中まなかいちのき豆腐とうふあっ豆腐とうふあっ豆腐とうふあっその豆腐とうふかくから一丁いちちょうばかり爪先つまさき上がりあがり上がるあがるかんけいてら云ういうてらあっかんけいてら云ういうてらあるあるいまあるだろう門前もんぜんから見るみるただおお竹藪たけやぶばかり見えみえ本堂ほんどう庫裏くりないようその御寺おてら毎朝まいあさよんころなるだれかね敲くたたくだれかね敲くたたくって坊主ぼうず敲くたたくだろう坊主ぼうずなん分らわからないただたけなかかんかん幽かかすか敲くたたくふゆあさなんぞしも強くつよく降っふっ布団ふとんなか世の中よのなか寒ささむさ一二いちにすんあつし遮ぎっさえぎっ聞いきいいる竹藪たけやぶなかからかんかん響いひびいくるだれ敲くたたく分らわからないぼくてらまえ通るとおるたび長いながいいしいし倒れかかったおれかかっ山門さんもん山門さんもん埋めうめ尽くすつくすほどおお竹藪たけやぶ見るみる一度いちど山門さんもんなか覗いのぞいことないただ竹藪たけやぶなか敲くたたくかねおとだけ聞いきい夜具やぐうら海老えびようなる海老えびようなるってうん海老えびようなっくちうちかんかんかんかん云ういうみょうする門前もんぜん豆腐とうふきっと起きおき雨戸あまど明けるあけるぎっぎっまめうす挽くひくおとするざあざあ豆腐とうふみず易えるかえるおとするきみいえ全体ぜんたいどこあるわけぼくうちつまりそんなおと聞えるきこえるところあるからどこあるわけすぐそば豆腐とうふ向かむか隣りとなりなにかいどこ豆腐とうふかいへええそいつろくさん驚ろいおどろい
ぼく豆腐とうふへええ豆腐とうふろくさん再びふたたび驚ろいおどろい
それから垣根かきね朝顔あさがお茶色ちゃいろ枯れかれ引っ張るひっぱるがらがら鳴るなる時分じぶん白いしろいもや一面いちめん降りふりまち外れはずれ瓦斯灯がすとうあかりちらちらする思うおもうまたかね鳴るなるかんかんたけおく冴えさえ鳴るなるそれから門前もんぜん豆腐とうふこのかね合図あいず腰障子こししょうじはめる門前もんぜん豆腐とうふ云ういうそれきみうちじゃないぼくうちすなわち門前もんぜん豆腐とうふ腰障子こししょうじはめるかんかん云ういうこえ聞きききながらぼくかい上がっあがっ布団ふとん敷いしい寝るねるぼくうち吉原よしわらよう旨かっうまかっ近所きんじょ評判ひょうばんだっ 隣りとなり座敷ざしき小手こて竹刀しない双方そうほうおとなしくなっ向うむこうえんがわ六十ろくじゅう余りあまり肥っふとっじいさん丸いまりいはしらもたし胡坐こざまま毛抜きけぬきあごひげいちほんいちほん抜いぬいいる
ひげうんと抑えおさえぐい抜くぬく毛抜けぬきしたたま返りかえりあごうえ反り返るそりかえる
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