幻影の盾

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その三カ一を占むるならば、ウィリアムの命の三分二は既に死んだ様なものである。残る三分一は? 軍はまだない。

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そとほう急くせく厚いあついかしとびらこぶしにて会釈えしゃくなく夜陰やいん響けひびけ叩くたたく
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ウィリアムうぃりあむ瞬きまばたきおんなかお打ち守るうちまもる
こい口惜しくやしいのちうらないたて問えとえかしまぼろしたて ウィリアムうぃりあむがけ飛ぶとぶ牡鹿おじか如くごとくかかとめぐらしたてとっ来るくる
おんなただ懸命けんめいたてめん給えたまえ云ういう
ウィリアムうぃりあむ無言むごんままたて抱いいだいいけえん坐るすわる
寥廓なるてんしたしょうしつなるはやしうらゆうれいなるいけうえおと云ういうほどおと何になんに聞えきこえ
ただウィリアムうぃりあむ見詰めみつめたるたて内輪うちわれい如くごとくかん出すだすともむかしながら微かかすかこえかれみみ襲うおそうのみある
たてなかなん見るみるおんなみずむかいより問うとう
ありあるへび動くうごくウィリアムうぃりあむ放たはなた答えるこたえる
物音ものおとふでかみ走るはしる如くごとくなり迷いまよいては迷いまよいてはしきり動くうごくこころなりおとなきほうおと聞きききおと聞きききおんな半ばなかば歌ううたう如くごとく半ばなかば語るかたる如くごとくきし隔てへだてウィリアムうぃりあむ向けむけなみ如くごとくふる
動くうごく次第しだいやみ鳴るなるおと自からみずからぜっ
見入るみいるたて模様もよう霞むかすむ疑わうたがわほどなくたてめんくろまくかかる
見れみれ見えみえ聞けきけ聞えきこえ常闇とこやみ住むすむわれ怪しみあやしみ暗しくらし暗しくらし云ういう
わが呼ぶよぶこえわれすら聞かきかくらい幽かかすかなり
やみからす嘆かたんか鳴かなかこえさえ聞かきか恋わこわいのちやみ捨てすていのちやみ拾わじゅうわ嬉しかろううれしかろうおんな歌ううたうこえひゃくさしかべ洩れもれ蜘蛛くもかこいほそ通い路かよいじより来るくる
うたしばし絶えたえゆみ擦るするおとかぜ誘うさそう遠きとおきより高くたかく低くひくくウィリアムうぃりあむみみ限りなきかぎりなき清涼せいりょう吹くふく
その暗きくらきなかいちてん白玉はくぎょくひかり点ぜてんぜらるる
見るみるうち大きくおおきくなる
やみひく光りひかり進むすすむウィリアムうぃりあむ及ぶおよぶ限りかぎりよんめんそら蕩万さとそうこおり建てたてれんたる如くごとくなる
あたま蔽うおおうてんなくあしのりするなくれい虚無きょむ真中まなか一人ひとり立つたつ
きみいまいずく遙かはるか問うとうはかおんなこえある
なかゆうなか玻璃はりびんなかウィリアムうぃりあむれるひとよう答えるこたえる
かれまだたて離れはなれ
おんな歌い出すうたいだす
ふとし利亜りあふとし利亜りあうみむらさき夜明けよあけたり広いひろいうみほのぼのあけ橙色だいだいいろなみから出るでるウィリアムうぃりあむ云ういう
かれなおたて見詰めみつめいる
かれこころなんない
ただたてある
髪毛かみのけすえからあし爪先つまさき至るいたるまで五臓六腑ごぞうろっぷ挙げあげ耳目じもく口鼻こうび挙げあげ悉くことごとく幻影げんえいたてある
かれ総身そうみたてなり切っきっいる
たてウィリアムうぃりあむウィリアムうぃりあむたてある
もの純一じゅんいち無雑むざつ清浄せいじょうさかいぴたり合うあうときふとし利亜りあそら自からみずから明けあけふとし利亜りあ自からみずから出るでる
おんなまた歌ううたう
張れはれふね行くいく帆柱ほばしらなん掲げかかげあかだっウィリアムうぃりあむたてなか向っむかっ叫ぶさけぶ
白いしろい山影さんえいよこってきし近づいちかづい来るくるさんほん帆柱ほばしら左右さゆう知らしらなかなるうえ春風しゅんぷう受けうけたな曳くひくあかあかクララくららふねふねあぶら如くごとくたいらなるうみ滑っすべっ難なくなんなくきし近づいちかづい来るくる
へさき金色きんいろかみ乱しみだし伸び上るのびあがる言うゆうまでないクララくららある
ここみなみくにそらあい流しながしうみあい流しながしそのなか横わるよこたわる遠山えんざんまたあい含んふくんいる
ただはるなみちょろちょろいそ洗うあらうはしだけ際限さいげんなく長いながいいちじょう白布しろぬの見えるみえる
おか橄欖かんらん深緑しんりょく暖かあたたか洗わあらわその葉裏はうらひゃく千鳥ちどりかくす
にわはな赤いあかいはなむらさきはなくれないはな凡てすべてはるはな凡てすべていろ尽くしつくし咲きさき乱れみだれ乱れみだれ散りちり散りちりては咲いさいふゆ知らしらそらだれ向っむかっ誇るほこる
暖かあたたかくさうえ二人ふたり坐っすわっ二人ふたりとも青絹あおぎぬ敷いしいよううみめん遙かはるかした眺めながめいる
二人ふたりとも斑入りふいり大理石だいりせき欄干らんかん二人ふたりともあしまえ投げ出しなげだしいる
二人ふたりあたまうえから欄干らんかん斜めななめ林檎りんごえだはなふたさしかける
はな散るちるあるときクララくらら髪の毛かみのけとまりあるウィリアムうぃりあむ髪の毛かみのけかかる
またある二人ふたりあたま二人ふたりそではらはら一度いちどかかる
えだから釣るつるかごうち鸚鵡おうむ時々ときどきけたたましいおと出すだす
南方なんぽう沈ましずまうちウィリアムうぃりあむ熱きねつきくちびるクララくららくちびるつける
二人ふたりくちびる林檎りんごはないちかたはさまっ濡れぬれままついいる
このくにはる長えなげえクララくらら窘めるたしなめる如くごとく云ういう
ウィリアムうぃりあむしきこえDruerie!
呼ぶよぶ
クララくらら同じおなじようDruerie!
云ういう
かごなかなる鸚鵡おうむDruerie!
するどどきこえ立てるたてる
遙かはるかしたなるはるうみドルエリどるえり答えるこたえる
うみ向うむこう遠山えんざんドルエリどるえり答えるこたえる
おか蔽うおおう凡てすべて橄欖かんらんにわ咲くさくはな赤いあかいはなむらさきはなくれないはな凡てすべてはるはな凡てすべてはるものみな一斉いっせいドルエリどるえり答えるこたえる
これたてなか世界せかいある
しかしウィリアムうぃりあむたてある
ひゃくねんよわいいは目出度めでたなんゆう
然ししかしちと退屈たいくつじゃ
らく多かろうおおかろううれい長かろうながかろう
水臭いみずくさい麦酒びーる日毎ひごと浴びるあびるよりした焼くやく酒精しゅせいはんしずく味わうあじわうほう手間てまかから
ひゃくねんじゅう割りわりじゅうねんひゃく割っわりっ剰すあますところ半時はんときひゃくねん苦楽くらく乗じじょうじたらやはりひゃくねんなま享けうけ同じおなじことじゃ
泰山たいざんカメラかめらうら収まりおさまり水素すいそれいゆれえきなる
終生しゅうせい情けなさけぶん縮めちぢめ懸命けんめいかんてん凝らしこらし得るうるなら然ししかしそれ普通ふつうひと出来るできることだろう
この猛烈もうれつ経験けいけん嘗めなめとくもの古往こおう今来こんらいウィリアムうぃりあむ一人ひとりある
つき十八じゅうはち
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