犬と笛

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それからかみ長彦ながひこ二人ふたりひめようさんひきいぬひきつれ黒犬くろいぬ跨がりまたがりながら笠置かさぎやまいただきから飛鳥あすか大臣だいじんようなるほうまっすぐそら飛んとんまいりまし
その途中とちゅう二人ふたりひめようどう思いおもいなっ御自分ごじぶんたちきんくしぎんくしぬきとっそれかみ長彦ながひこ長いながいかみそっとさして置きおきなりまし
こっち元よりもとよりそんなことつくはずありませ
ただ一生懸命いっしょうけんめい黒犬くろいぬ急がいそがながら美しいうつくしい大和やまと国原くにはらあしした見下しみくだしずんずんそら飛んとん行きいきまし
そのなかかみ長彦ながひこあの始めはじめ通りかかっとおりかかっさんまたみちそらまでいぬ進めすすめまし見るみるそこさっき二人ふたりさむらいどこから帰りかえり見えみえまたうま並べならべながらほう急いいそいます
これ見るみるかみ長彦ながひこふと自分じぶん大手おおてがらこの二人ふたりさむらいたち聞かきかたい云ういう心もちこころもち起っおこっものですから下りろおりろ下りろおりろあのさんまたなっいるみちうえ下りくだり行けいけこう黒犬くろいぬ云いいいつけまし
こっち二人ふたりさむらいです
折角せっかく方々かたがた探しまわっさがしまわっひめようたち行方ゆくえどう知れしれないしおしおうま進めすすめいるいきなりそのひめようたちおんなよう木樵きこり一しょいっしょ逞しいたくましい黒犬くろいぬ跨っまたがっそらから舞い下っまいくだっですからその驚きおどろき云っいったらありませ
かみ長彦ながひこいぬ背中せなか下りるおりる叮嚀ていねいまたおじぎ殿様とのさまわたくしあなたほう別れわかれ申しもうしからすぐ生駒山いこまやま笠置かさぎやま飛んとん行っいっこの通りとおり二方にほうひめよう助けたすけ申しもうしまいりまし云いいいまし
しかし二人ふたりさむらいこんな卑しいいやしい木樵きこりなどまんまとはなあかさですから羨しいうらやましい妬ましいねたましいはら立ったっ仕方しかたありませ
そこ上辺じょうへんさも嬉しうれしそういろいろかみ長彦ながひこ手柄てがら褒め立てほめたてながらとうとうさんひきいぬ由来ゆらいこしさしふえ不思議ふしぎなどすっかり聞き出しききだししまいまし
そうかみ長彦ながひこ油断ゆだんいるなかまず大事だいじふえそっとこしからぬいしまう二人ふたりいきなり黒犬くろいぬ背中せなかとび乗っとびのっ二人ふたりひめようひきいぬしっかり両脇りょうわき抱えかかえながら飛べとべ飛べとべ飛鳥あすか大臣だいじんよういらっしゃるほう飛んとん行けいけこえ揃えそろえ喚きわめきまし
かみ長彦ながひこ驚いおどろいすぐ二人ふたりとびかかりましもうその大風おおふう吹きふき起っおこっさむらいたち乗せのせ黒犬くろいぬきりり捲いまいままはるか青空あおぞらうえほう舞い上っまいあがっ行っいっしまいまし
あとたださむらいたち乗りすてのりすてひきうま残っのこっいるばかりですからかみ長彦ながひこさんまたなっ往来おうらいまん中まんなかつっぷししばらくただ悲しかなしそうおいおい泣いないおりまし
する生駒山いこまやまみねほうからさっかぜ吹いふい思いおもいますそのかぜなかこえかみ長彦ながひこさんかみ長彦ながひこさんわたくし生駒山いこまやま駒姫こまひめですやさしい囁きささやき聞えきこえまし
それ同時どうじまた笠置かさぎやまほうからさっかぜ渡るわたるいなやはりそのかぜなかこえあっかみ長彦ながひこさんかみ長彦ながひこさんわたくし笠置かさぎやまかさひめですこれやさしく囁きささやきまし
そうそのこえいちなっこれからすぐ私たちわたくしたちあのさむらいたちあと追っおっふえとり返しとりかえし上げあげますから少しすこし心配しんぱいなさいます云ういう云わいわないなかかぜびゅうびゅう唸りうなりながらさっき黒犬くろいぬ飛んとん行っいっほう狂っくるっ行っいっしまいまし
少しすこしたつそのかぜまたこのさんまたなっみちうえまえようやさしく囁きささやきながら高いたかいそらから下しおろしまし
あの二人ふたりさむらいたちもう二方にほうひめよう一しょいっしょ飛鳥あすか大臣だいじんようまえいろいろ褒美ほうび頂いいただいますさあさあ早くはやくこのふえ吹いふいさんひきいぬここ呼びよびなさいその私たちわたくしたちあなた出世しゅっせたびたて恥しくはずかしくないよう上げあげましょう こう云ういうこえ思うおもうあの大事だいじふえ始めはじめきんよろいぎんかぶと孔雀くじゃくはね香木こうぼくゆみ立派りっぱ大将たいしょう装いよそおいまるであめあられよう眩しくまぶしく輝きかがやきながらばらばらまえ降っふっまし