文芸の哲学的基礎

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その一つだけが触れて、他は触れぬものだと断言するのは、論理的にかく証明し来ったところで、成立せぬ出放題の広言であります。真は深くもなり、広くもなり得る理想であります。しかしながら、真が独り人生に触れて、他の理想は触れぬとは、真以外に世界に道路がある事を認め得ぬ色盲者の云う事であります。東西南北ことごとく道路で、ことごとく通行すべきはずで、大切と云えばことごとく大切であります。

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よんしゅ理想りそう分化ぶんか受けうけます
分化ぶんか受けるうける従っしたがっ変形へんけい生じしょうじます
変形へんけい生じしょうじつつ進歩しんぽする機会きかい早めはやめます
この変形へんけいうちもっとも新しいあたらしい理想りそう実現じつげんするひと人生じんせいおいしん意義いぎ認めみとめひと云いいいます
変形へんけいうちもっとも深きふかき理想りそう実現じつげんするひと深刻しんこく人生じんせい触れふれひと申しもうします
云ういうまでなく深刻しんこくしんぜんそう四面しめんわたっ申すもうすべき形容詞けいようしあります
悲惨ひさんから深刻しんこく暗黒あんこくから深刻しんこく云ういう無意味むいみ言語げんごあります変形へんけいうちもっとも広きひろき理想りそう実現じつげんするひと広くひろく人生じんせい触れふれひと申しもうします
このさん兼ねけんね完全かんぜんなる技巧ぎこうよりこれ実現じつげんするひと理想的りそうてき文芸家ぶんげいかすなわち文芸ぶんげい聖人せいじん云ういうあります
文芸ぶんげい聖人せいじんただ聖人せいじんこれ技巧ぎこう加えるくわえるとき始めはじめ文芸ぶんげい聖人せいじんなるあります
聖人せいじん理想りそう申しもうし別段べつだんことありませ
ただいかに生存せいぞんべき問題もんだい解釈かいしゃくするまであります
発達はったつ理想りそう完全かんぜん技巧ぎこう合しごうし文芸ぶんげい極致きょくち達したっします
それから文芸ぶんげい極致きょくち時代じだいよっ推移すいいするもの解釈かいしゃくするもっとも論理的ろんりてきあります文芸ぶんげい極致きょくち達したっしときこれ接するせっするものもしこれ接しせっし得るうるだけ機縁きえん熟しじゅくしいれ還元かんげんまと感化かんか受けうけます
この還元かんげんまと感化かんか文芸ぶんげい吾人ごじん与えあたえ得るうる至大しだい至高しこう感化かんかあります
機縁きえん熟すじゅくす云ういう意味いみこの極致きょくち文芸ぶんげいうちあらわれたる理想りそう自己じこ理想りそう契合けいごうする場合ばあいもしくはこれいんつけられたる自己じこ理想りそう新しきあたらしきてんおい深きふかきてんおいもしくは広きひろきてんおい啓発けいはつじゅくる刹那せつな大悟たいごする場合ばあい云ういうあります
えんなき衆生しゅじょう度しどしがたし単にたんに仏法ぶっぽうのみ言うゆうことありませ
段違いだんちがい理想りそう有しゆうしいるもの感化かんかやりたく感化かんか受けうけたくとうていどうすることできませ
還元かんげんまと感化かんか云ういう少々しょうしょうみょうから分りわかりなら思いおもいます
これ説明せつめいするこういう意味いみなります
文芸家ぶんげいかいま申すもうす通りとおり自己じこ修養しゅうようとく理想りそう言語げんご色彩しきさい方便ほうべんあらわすその現わさあらわされる理想りそうあるしゅ意識いしきあるしゅ連続れんぞくなすそのまま写し出しうつしだしもの過ぎすぎませ
からこれ対したいし享楽きょうらくさかい達するたっするいう意味いみ文芸家ぶんげいかあらわし意識いしき連続れんぞく随伴ずいはんする云ういうことなります
から我々われわれ意識いしき連続れんぞく文芸家ぶんげいか意識いしき連続れんぞくあるまで一致いっちなけれ享楽きょうらく云ういうこと行わおこなわれるはずありませ
いわゆる還元かんげんまと感化かんかこの一致いっち極度きょくどおい始めはじめ起るおこる現象げんしょうあります
一致いっち意味いみ固よりもとより明暸めいりょうこの一致いっち意識いしき連続れんぞく我々われわれこころうち浸み込んしみこん作物さくもつ離れはなれたるあとまで痕迹こんせき残すのこすいわゆる感化かんかあります
する説明せつめいべきものただ還元かんげんなります
しかしこのまた一致いっち云ういう字面じづらうち含まふくまおります
一致いっち云ういうわれ意識いしきかれ意識いしきあっこのもの合しごうしいちなる云ういう意味いみありますそれ一致いっちまえ言うゆうべきことすでに一致いっち以上いじょういちなくないわけありますからこの境界きょうかい入れいれすでに普通ふつう人間にんげん状態じょうたい離れはなれ物我ぶつがうえ超越ちょうえつおります
ところこの物我ぶつがさかい超越ちょうえつする云ういうことこの講演こうえん出立しゅったつあっまたあらゆる思索しさく根拠こんきょ本源ほんげんなります
したがっ文芸ぶんげい作物さくもつ対したいしわれ忘れわすれかれ忘れわすれ無意識むいしき反省はんせいまとなく云ういうなり享楽きょうらくほしいままする時間じかん空間くうかんなくただ意識いしき連続れんぞくあるのみあります
もっともここ時間じかん空間くうかんない云ういう作物さくもつなかない云ういうない自己じこ作物さくもつ対するたいする時間じかんまた自己じこ占めしめいる空間くうかんないいう意味いみあっ読んよん何時間なんじかんかかるまた読んよんいる場所ばしょ書斎しょさい郊外こうがいじょくなか忘れるわすれる云ういう同じおなじことあります
普通ふつう場合ばあいおいこれ忘れるわすれることできある作者さくしゃ意識いしき連続れんぞく一致いっちあるときこれ離れるはなれるからわれ依然いぜんわれかれ依然いぜんかれあります
一致いっちいるさいのみ食わくわきゅうわれ帰りかえり時計とけい鳴っなっにわかわれ帰るかえるいうようあるから間髪かんぱつ容れいれざる完全かんぜん一致いっちより生ずるしょうずる享楽きょうらくほしいまますることできあります
かくごとく自己じこ意識いしき作家さっか意識いしき離れはなれたり合っあったりする読書どくしょかん純一じゅんいち無雑むざつ云ういう境遇きょうぐう達するたっすることできませ
これぞく邪魔じゃま這入るはいるともあぶら売るうるとも散漫さんまんなる云いいいます
ひとよる生涯しょうがい一度いちど無我むが境界きょうかい点頭てんとう恍惚こうこついき逍遥しょうようすることないものあります
ぞくこれもの役せえきせられるおとこ云いいいます
かようおとこなん因縁いんねんきゅうこの還元かんげんまと一致いっち得るうる非常ひじょうしゅう男子だんし絶世ぜっせい美人びじん惚れほれられよう喜びよろこびます
意識いしき連続れんぞくうち比較的ひかくてき連続れんぞく云ういうこと主におもに理想りそうあらわれくるおもに文学ぶんがくできます
比較的ひかくてき意識いしきそのもの内容ないよう主におもに理想りそうあらわれ来るくる絵画かいが成立せいりつます
から前者ぜんしゃ理想りそうおもに意識いしき推移すいいする有様ありさまあらわれます
したがっこの推移すいいほう理想的りそうてき行くいく作物さくもつ読者どくしゃ還元かんげんまと感化かんかうけやすくます
これどう還元かんげんまと感化かんか云いいいます
それから後者こうしゃ理想りそうおもに意識いしき停留ていりゅうする有様ありさまあらわれます
から停留ていりゅうほううまく行くいくすなわち意識いしき停留ていりゅうたいところ見計っみはからっその刹那せつな捕えるとらえる観者かんしゃ還元かんげんまと感化かんかうけやすくます
これせい還元かんげんまと感化かんか云いいいます
しかしながらこれ重なるかさなる傾向けいこうから文学ぶんがく絵画かいが分っわかっまでそのじつ截然さいぜんこう云ういう区別くべつできあります
しばらくこの要素ようそ文学ぶんがくほうかため申しもうします推移すいい法則ほうそく文学ぶんがく力学りきがく論ずろんずべき問題もんだい逗留とうりゅう状態じょうたい文学ぶんがく材料ざいりょう考えるかんがえるべき条項じょうこうあります
双方そうほうとも批評ひひょうがく発達はったつ今日きょうだれ着けつけおりませから研究けんきゅう余地よち幾らいくらあります
わたくし自分じぶん文学ぶんがくろんうち不完全ふかんぜんながら自分じぶん考えかんがえだけ述べのべおきましから参考さんこう願いねがいます
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最後さいご一言ひとこと加えくわえます
我々われわれ生きいきたい生きいきたい云ういう下司げすねん本来ほんらい持っもっおります
この下司げす了見りょうけんから物我ぶつが区別くべつ立てたてます
そういかなる意識いしき連続れんぞくとくいう選択せんたくねん生じしょうじこの選択せんたく範囲はんい広まるひろまる従っしたがっ一種いっしゅ理想りそう生じしょうじその理想りそう分岐ぶんき哲学者てつがくしゃまた科学者かがくしゃなり文芸家ぶんげいかなり実行じっこういえなりその文芸家ぶんげいかまたよんしゅ理想りそう作りつくりかつこれ分岐ぶんきしめ各自かくじ各自かくじ欲するほっする意識いしき連続れんぞく実現じつげんつつあるあります
要するようするみないかに存在そんざい生活せいかつ問題もんだいから割り出しわりだしもの過ぎすぎませ
からなんやろうけっして実際的じっさいてき利害りがい外れはずれこといちないあります
世の中よのなか芸術家げいじゅつか文学ぶんがくいえ云ういうもの閑人ひまじん号しごうしなんいらざることいるものよう考えかんがえます
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こう云ういうひとかた呼吸こきゅう働いはたらいって閑人ひまじんです
文芸家ぶんげいかいくら縁側えんがわ昼寝ひるねって閑人ひまじんじゃない
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から芸術家げいじゅつか自分じぶん閑人ひまじん考えるかんがえるようじゃ自分じぶん自分じぶん天職てんしょく抛つなげうつようもの天道てんとようすまないことなります
芸術家げいじゅつかどこまで閑人ひまじんじゃないきめなくっちゃいけない
いくら縁側えんがわ昼寝ひるね閑人ひまじんじゃないきめなくっちゃいけない
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これだけできなけれいくら技巧ぎこうあっ書いかいもの品位ひんいない
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こう書いかいたら笑わわらわれるだろうああ云っいったら叱らしかられるだろうびくびくふで執るとるからあのおとこはらなかかたまっおら理想りそうなまいう弱点じゃくてん書物しょもつうえ見え透くみえすくよう写っうつっいるしたがっいかに意気地いきちない
いくら技巧ぎこうあっってこれじゃひと引きつけるひきつけることできいわんや感化かんかあります
またいわんや還元かんげんまと感化かんかあります
こんな文芸家ぶんげいか称ししょうし閑人ひまじん云ういうあります
正木まさききみ云わいわ匠気しょうき云ういうかかる閑人ひまじん文芸家ぶんげいか着いつい廻るまわるあります
要するようする我々われわれ必要ひつよう理想りそうある
理想りそうぶん存するそんするものない存するそんするものない理想りそう有しゆうしいる人間にんげん着いついいるものある
から技巧ぎこうちから藉りかり理想りそう実現じつげんする人格じんかく一部いちぶ実現じつげんするある
人格じんかくないことただ綴りつづりしょう繋いつない上滑りうわすべりするようかきこなしたって閑人ひまじん過ぎすぎませ
ぞくこれがらない申しもうします
がらないことやっ閑人ひまじんやらなく閑人ひまじんからやらないほう手数てすう省けるはぶけるだけとくなります
ただ新しいあたらしい理想りそう深いぶかい理想りそう広いひろい理想りそうあっこれ世の中よのなか実現じつげんしよう思っおもっ世の中よのなか馬鹿ばかこれ実現じつげんない技巧ぎこう始めはじめこのひとため至大しだいようなすあります
一般いっぱん自分じぶんじつ世界せかいおけ発展はってん妨げるさまたげる自分じぶん理想りそう技巧ぎこう通じつうじ文芸ぶんげいうえ作物さくもつあらわるるほかみちないあります
そうひゃくひと一人ひとりせんひと一人ひとりこの作物さくもつ対したいしある程度ていど以上いじょう意識いしき連続れんぞくおい一致いっちするならいちあゆみ進んすすん全然ぜんぜんその作物さくもつおくより閃めきひらめき出ずるいずるしんぜんそう合しごうし未来みらい生活せいかつうえ消えきえがたき痕跡こんせき残すのこすならなお進んすすん還元かんげんまと感化かんかみょうさかい達したっし得るうるなら文芸家ぶんげいか精神せいしん気魄きはく無形むけい伝染でんせんより社会しゃかいおお意識いしき影響えいきょうする永久えいきゅう生命せいめい人類じんるい内面ないめん歴史れきしなかとくここ自己じこ使命しめい完うまっとうたるものあります
明治めいじ四十よんじゅうねんよんつき東京とうきょう美術びじゅつ学校がっこうおい
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