坑夫

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その一着として逃亡ちて見るんである。だから逃亡ちて見てもやっぱり過去に追われて苦しいようなら、その時徐に自滅の計を廻らしても遅くはない。それでも駄目ときまればその時こそきっと自殺して見せる。――こう書くと自分はいかにも下らない人間になってしまうが、事実を露骨に云うとこれだけの事に過ぎないんだから仕方がない。またこう書けばこそ下らなくなるが、その当時のぼんやりした意気込を、ぼんやりした意気込のままに叙したなら、これでも小説の主人公になる資格は十分あるんだろうと考える。

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そうそれ懐かしなつかし食いくいながらいよいよ宿外れしゅくはずれまで来るくるまたいち事件じけん起っおこっ
宿やど外れはずれはしある
はしした谷川たにがわ青いあおいみず流れながれいる
自分じぶんもうまち尽きるつきる思いおもいながらついいもこころ奪わうばわはしうえ乗っのっかかるまでかわあるともつかなかっ
ところきゅうみずおとするおや思うおもうはしいる
かわある
みず流れながれいる
なん馬鹿ばかはなし事実じじつもっとも近いちかい叙述じょじゅつやろうするまあこう書くかく一番いちばん適切てきせつだろうこう書いかい置くおく
けっして小説家しょうせつか弄ぶもてあそぶよう法螺ほらななぶん形容けいようない
これ形容けいようないするその自分じぶんいかにいもむねがっおのずから分明ふんみょうなる
さて水音みずおと驚いおどろい欄干らんかんからした見るみるおとするもっともかわなか大きなおおきないしだいぶんある
そうその形状けいじょういかに不作ふさくほうでき上っできあがっあたかもみず通り道とおりみち邪魔じゃまなるようたり突っ立っつったったりいる
それみずやけぶつかる
しかもそのみず勾配こうばいついいる
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そう白いしろいあわ噴いふいたり青いあおいあめようなったり曲っきょくったりくねったりした流れながれ行くいく
どう非常ひじょうやかましい
だんだん暮れくれくる
仰向いあおむい日向ひなたどこ見えみえない
ただ落ちおち方角ほうがくぽうっ明るくあかるくなっその明かるいあかるいそら背負っせおってるやまだけ目立っめだっ蒼黒くあおぐろくなっ
つきけれど寒いさむいもん
この水音みずおとだけなつ思わおもわない
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さすがこの日暮ひぐれやまから一人ひとり降りふり来るくるものある
自分じぶんなどこの小僧こぞう年輩ねんぱいころよる青山あおやま墓地ぼち抜けるぬけるいささかなっもの
なかなかえらい感心かんしんいる長蔵ちょうぞうさんいも食わくわない云いいいながら食い残しくいのこし気前きまえよくほん小僧こぞうはなまえ出しだし
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