虞美人草

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これあに御存じごぞんじ通りとおり随分ずいぶん変人へんじんですから母さんははさん遠廻しとおまわし棄鉢なっむすめ御機嫌ごきげんとる
甲野こうのさんまだ帰りかえりならそうです小野おのさんうまいところ話頭わとう転換てんかん
まるであなた鉄砲玉てっぽうたまようあれ始終しじゅう身体しんたい悪いわるい申しもうしぐずぐずおりますからそれならちと旅行りょこう判然はんぜんたらよかろう申しもうしましまだなん駄々だだ捏ねこね動かうごかないようやく宗近むねちか頼んたのん連れ出しつれだし貰いもらいましところまるで鉄砲玉てっぽうたま若いわかいもの申すもうすもの若いわかいって兄さんあにさん特別とくべつです哲学てつがく超絶ちょうぜついるから特別とくべつですそう母さんははさんなん分らわからないけれどそれあなたあの宗近むねちか云ういうおお呑気のんきあれこそ本当ほんとう鉄砲玉てっぽうたま随分ずいぶん困りものこまりものでしアハハハあははは快活かいかつ面白いおもしろいひとです宗近むねちか云えいえ御前ごぜんさっきものどこある母さんははさんきりり上げあげ部屋へやうち廻わすまわす
ここです藤尾ふじお軽くかるく諸膝もろひざ斜めななめ立てたて青畳あおだたみうえはちはん座布団ざふとんさらり滑べらすべらせる
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右手みぎて伸べのべ輝くかがやくもの戛然かつぜん鳴らすならす思うおもうてのひらより滑るすべるくさりやおらたたみ落ちんおちんいちさし長さながさ喰いくい留めとめられる余るあまるちからよこ抜いぬいはしつけ柘榴ざくろいし飾りかざりとも長いながいものふらりふらり二三にさん揺れるゆれる
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だいさんなみまさに静まらしずまらするときおんなしょう立ち上がったちあがっ
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小野おのさん胴衣どういむね松葉まつばかたち組んくんきんくさりぼたんあな左右さゆう抜けぬけ黒ずんくろずんメルトンめるとん背景はいけい燦爛さんらん耀やいいる
どうです藤尾ふじお云ういう
なるほど善くよく似合いにあいます母さんははさん云ういう
全体ぜんたいどうです小野おのさんけむり巻かまきかながら聞くきく
母さんははさんホホホほほほ笑うわらう
上げあげましょう藤尾ふじお流し目ながしめ聞いきい
小野おのさん黙っだまっいる
じゃまあ止しよしましょう藤尾ふじお再びふたたび立ったっ小野おのさんむねからきん時計とけい外しはずししまっ
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