こころ

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わたくしそれから時々ときどき先生せんせい訪問ほうもんするようなっ
行くいくたび先生せんせい在宅ざいたくあっ
先生せんせい会うあう度数どすう重なるかさなるつれわたくしますます繁くしげく先生せんせい玄関げんかんあし運んはこん
けれど先生せんせいわたくし対するたいする態度たいど初めてはじめて挨拶あいさつ懇意こんいなっその後そのあとあまり変りかわりなかっ
先生せんせい何時もいつも静かしずかあっ
ある静かしずか過ぎすぎ淋しいさびしいくらいあっ
わたくし最初さいしょから先生せんせい近づきちかづきがたい不思議ふしぎあるよう思っおもっ
それどう近づかちかづかなけれられないいう感じかんじどこ強くつよく働いはたらい
こういう感じかんじ先生せんせい対したいしもっもの多くおおくひとうちあるいはわたくしだけ知れしれない
しかしそのわたくしだけこの直感ちょっかんあとなっ事実じじつうえ証拠しょうこ立てたてられからわたくし若々しいわかわかしいいわ馬鹿げばかげいる笑わわらわそれ見越しみこし自分じぶん直覚ちょっかくとにかく頼もしくたのもしくまた嬉しくうれしく思っおもっいる
人間にんげん愛しあいし得るうるひと愛せあいせられないひとそれ自分じぶんふところ入ろうはいろうするものひろげ抱き締めるだきしめることできないひとこれ先生せんせいあっ
いまいっ通りとおり先生せんせい始終しじゅう静かしずかあっ
落ち付いおちつい
けれどへん曇りくもりそのかお横切るよこぎることあっ
まど黒いくろい鳥影とりかげ射すさすよう
射すさす思うおもうすぐ消えるきえる消えきえ
わたくし始めはじめその曇りくもり先生せんせい眉間みけん認めみとめ雑司ヶ谷ぞうしがや墓地ぼち不意ふい先生せんせい呼び掛けよびかけあっ
わたくしその異様いよう瞬間しゅんかん今までいままで快くこころよく流れながれ心臓しんぞう潮流ちょうりゅうちょっと鈍らにぶら
しかしそれ単にたんに一時いちじ結滞けったい過ぎすぎなかっ
わたくしこころぶん経たへたないうち平素へいそ弾力だんりょく回復かいふく
わたくしそれぎりあんそうこのくもかげ忘れわすれしまっ
ゆくなくまたそれ思い出さおもいださられ小春こはる尽きるつきるない或るあるばんことあっ
先生せんせい話しはなしわたくしふと先生せんせいわざわざ注意ちゅういくれ銀杏ぎんなん大樹たいじゅまえ想い浮かべおもいうかべ
勘定かんじょうみる先生せんせいまい月例げつれい墓参ぼさん行くいくそれからちょうどさん当っあたっ
そのさんわたくし課業かぎょううま終えるおえるらくあっ
わたくし先生せんせい向かっむかっこういっ
先生せんせい雑司ヶ谷ぞうしがや銀杏ぎんなんもう散っちっしまっでしょうまだそら坊主ぼうずならないでしょう 先生せんせいそう答えこたえながらわたくしかお見守っみまもっ
そうそこからしばし離さはなさなかっ
わたくしすぐいっ
今度こんど墓参りはかまいりいらっしゃるお伴おともなえざんすわたくし先生せんせいいっしょあすこいら散歩さんぽたいわたくし墓参りはかまいり行くいく散歩さんぽ行くいくじゃないですしかしついで散歩さんぽなすったらちょうど好いよいじゃありませ 先生せんせいなん答えこたえなかっ
しばらくからわたくし本当ほんとう墓参りはかまいりだけからいっどこまで墓参ぼさん散歩さんぽ切り離そうきりはなそうするかぜ見えみえ
わたくし行きいきたくない口実こうじつなんわたくしその先生せんせいいかに子供こどもらしくへん思わおもわ
わたくしなおさき出るでるなっ
じゃ墓参りはかまいり好いよいからいっしょ伴れつれ行っいっ下さいくださいわたくし墓参りはかまいりますから 実際じっさいわたくし墓参ぼさん散歩さんぽ区別くべつほとんど無意味むいみよう思わおもわある
する先生せんせいまゆちょっと曇っくもっ
うち異様いようひかり
それ迷惑めいわくとも嫌悪けんお畏怖いふ片付けかたづけられない微かかすか不安ふあんらしいものあっ
わたくし忽ちたちまち雑司ヶ谷ぞうしがや先生せんせい呼び掛けよびかけ記憶きおく強くつよく思い起しおもいおこし
表情ひょうじょう全くまったく同じおなじだっある
わたくし先生せんせいいっ
わたくしあなた話すはなすことできないある理由りゆうあっほかいっしょあすこ墓参りはかまいり行きいきたくないです自分じぶんつまさえまだ伴れつれ行っいっことないです
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