或阿呆の一生

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十 先生

第 10 章
彼かれは大きいおおきい※の木きの下したに先生せんせいの本ほんを読んよんでゐた。
※の木きは秋あきの日ひの光ひかりの中なかに一いち枚ばいの葉はさへ動どうさなかつた。
どこか遠いとおい空中くうちゅうに硝子がらすの皿さらを垂れたれた秤はかりが一いちつ、丁度ちょうど平衡へいこうを保つたもつてゐる。
――彼かれは先生せんせいの本ほんを読みよみながら、かう云ふいふ光景こうけいを感じかんじてゐた。
……
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