或阿呆の一生

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三 家

第 3 章
彼かれは或ある郊外こうがいの二に階かいの部屋へやに寝起きねおきしてゐた。
それは地盤じばんの緩いゆりい為ために妙みょうに傾いかたむいた二に階かいだつた。
彼かれの伯母おばはこの二に階かいに度たびたびたび彼かれと喧嘩けんかをした。
それは彼かれの養父母ようふぼの仲裁ちゅうさいを受けるうけることもないことはなかつた。
しかし彼かれは彼かれの伯母おばに誰だれよりも愛あいを感じかんじてゐた。
一生いっしょう独身どくしんだつた彼かれの伯母おばはもう彼かれの二十歳にじゅうさいの時じにも六十ろくじゅうに近いちかい年ねんよりだつた。
彼かれは或ある郊外こうがいの二に階かいに何度なんども互たがいに愛しあいし合あわせふものは苦しめくるしめ合あわせふのかを考へかんがへたりした。
その間まも何なんか気味きみの悪いわるい二に階かいの傾きかたむきを感じかんじながら。
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