或阿呆の一生

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四十九 剥製の白鳥

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かれ最後さいごちから尽しつくしかれ自叙伝じじょでん書いかい見ようみよう
それかれ自身じしん存外ぞんがい容易ようい出来できかつ
それかれ自尊心じそんしん懐疑かいぎ主義しゅぎ利害りがい打算ださん未だいまだざんゐるためだつ
かれかう云ふいふかれ自身じしん軽蔑けいべつられかつ
しかしまた一面いちめんだれ一皮ひとかわ剥いむい見れみれ同じおなじこと思はおもうはられかつ
真実しんじつ云ふいふほん名前なまえかれあらゆる自叙伝じじょでん名前なまえやう考へかんがへられ勝ちかちだつ
のみなら文芸ぶんげいうえ作品さくひん必しひっしだれ動かさうごかさないかれはつきりわかつ
かれ作品さくひんうったえへるものかれ近いちかい生涯しょうがいつたかれ近いちかい人々ひとびとそとあるはずない
かう云ふいふかれ働いはたらい
かれそのため手短かてみじかかれ真実しんじつ書いかい見るみること
かれある阿呆あほう一生いっしょう書き上げかきあげあと偶然ぐうぜんある古道具こどうぐみせ剥製はくせい白鳥はくちょうある見つけみつけ
それくび挙げあげ立つたつものばん羽根はねさへむし食はしょくは
かれかれ一生いっしょう思ひおもひなみだ冷笑れいしょうこみ上げるこみあげる感じかんじ
かれまえあるものただ発狂はっきょう自殺じさつだけだつ
かれくれ往来おうらいたつ一人ひとり歩きあるきながら徐ろにおもむろにかれ滅しめっし来るくる運命うんめい待つまつこと決心けっしん
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