或阿呆の一生

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五十一 敗北

第 51 章
彼かれはペンぺんを執るとる手ても震しんへ出しだした。
のみならず涎よだれさへ流れ出しながれだした。
彼かれの頭あたまは〇れい・八はちのヴエロナアルを用ようひて覚めさめた後あとの外そとは一度いちどもはつきりしたことはなかつた。
しかもはつきりしてゐるのはやつと半はん時間じかんか一いち時間じかんだつた。
彼かれは唯ただ薄暗いうすぐらい中なかにその日暮らしひぐらしの生活せいかつをしてゐた。
言はげんはば刃はのこぼれてしまつた、細いほそい剣けんを杖つえにしながら。
(昭和しょうわ二に年ねん六ろく月つき、遺稿いこう)
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