或阿呆の一生

12/51

十二 軍港

12
潜航艇せんこうてい内部ないぶ薄暗うすぐらかつ
かれ前後ぜんご左右さゆうへいつた機械きかいなかこしかがめ小さいちいさいきん覗いのぞい
そのまたきんえいつてゐる明るいあかるい軍港ぐんこう風景ふうけいだつ
あすこ金剛こんごう見えるみえる
 ある海軍かいぐん将校しょうこうかうかれ話しかけはなしかけたり
かれ四角いしかきいレンズれんずうえ小さいちいさい軍艦ぐんかん眺めながめながらなぜふと阿蘭陀おらんだせり思ひ出しおもひだし
一人前いちにんまえ三十さんじゅうせんビイフびいふステエクうえかすか匂つにおつゐる阿蘭陀おらんだせり
12/51