語
NihongoPros
科学的日本語学習
語彙学習
文法学習
読解力
学習センター
或阿呆の一生
前の章
第
6
章
/
51
次の章
六 病
第 6 章
文節を表示
彼
かれ
は
絶え間
たえま
ない
潮風
しおかぜ
の
中
なか
に
大きい
おおきい
英吉利
いぎりす
語
ご
の
辞書
じしょ
を
ひろげ
、
指先
ゆびさき
に
言葉
ことば
を
探し
さがし
て
ゐ
た
。
Talaria
翼
つばさ
の
生え
はえ
た
靴
くつ
、
或は
あるいは
サンダアル
さんだある
。
Tale
話
はなし
。
Talipot
東
ひがし
印度
いんど
に
産する
さんする
椰子
やし
。
幹
みき
は
五十
ごじゅう
呎
より
百
ひゃく
呎
の
高さ
たかさ
に
至り
いたり
、
葉
は
は
傘
かさ
、
扇
おうぎ
、
帽
ぼう
等
とう
に
用
よう
ひら
る
。
七十
ななじゅう
年
ねん
に
一度
いちど
花
はな
を
開く
ひらく
。
…
…
彼
かれ
の
想像
そうぞう
は
はつ
きり
と
この
椰子
やし
の
花
はな
を
描き出し
えがきだし
た
。
する
と
彼
かれ
は
喉もと
のどもと
に
今まで
いままで
に
知ら
しら
ない
痒
かゆ
さ
を
感じ
かんじ
、
思は
おもうは
ず
辞書
じしょ
の
上
うえ
へ
啖
を
落し
おとし
た
。
啖
を
?
―
―
しかし
それ
は
啖
で
は
なかつ
た
。
彼
かれ
は
短い
みじかい
命
いのち
を
思ひ
おもひ
、
もう
一度
いちど
この
椰子
やし
の
花
はな
を
想像
そうぞう
し
た
。
この
遠い
とおい
海
うみ
の
向う
むこう
に
高だか
たかだか
と
聳え
そびえ
て
ゐる
椰子
やし
の
花
はな
を
。
前の章
第
6
章
/
51
次の章