行人

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そのうちなつしだい過ぎすぎ
宵々よいよい見るみるほしひかりよるごと深くふかくなっ
梧桐ごどう朝夕あさゆうかぜ揺ぐゆるぐはだ応えるこたえるようひやひや振っふっ
自分じぶんあき入るはいる生れ変っうまれかわっよう愉快ゆかい気分きぶん時々ときどき感じかんじとく
自分じぶんより詩的してきあにかつて透き通るすきとおるあきそら眺めながめ生き甲斐いきがいあるてん云っいっ嬉しうれしそうしんあおあたまうえ眺めながめことあっ
兄さんあにさんいよいよ生き甲斐いきがいある時候じこうまし自分じぶんあに書斎しょさいヴェランダゔぇらんだ立ったっかれ顧みかえりみ
かれそこある籐椅子とういすうえ
まだ本当ほんとうあき気分きぶんにゃなれないもう少しすこし経たへたなくっちゃ駄目だめ答えこたえかれひざうえ伏せふせ厚いあつい書物しょもつ取り上げとりあげ
食事しょくじまえ夕方ゆうがたあっ
自分じぶんそれなり書斎しょさいした行こういこう
するあにきゅう自分じぶん呼び止めよびとめ
芳江よしえしたいるいるでしょう先刻せんこく裏庭うらにわようでし 自分じぶんきたほうまど開けあけした覗いのぞい
した特にとくに彼女かのじょため植木屋うえきや拵えこしらえブランコぶらんこあっ
しかし先刻せんこく芳江よしえ姿すがた見えみえなかっ
おやどこ行っいっ自分じぶん独言どくげん云っいってる彼女かのじょ鋭いするどい笑い声わらいごえ風呂場ふろばなか聞えきこえ
ああ這入っはいっますじかいっしょ母さんははさん 芳江よしえ笑い声わらいごえたしかおんな深さふかさあり過ぎるすぎるねーこえ聞えきこえ
姉さんあねさんです自分じぶん答えこたえ
だいぶ機嫌きげん好さよさそうじゃない 自分じぶん思わおもわこう云っいっあにかお
かれ持っもっ大きなおおきな書物しょもつあたままで隠しかくしからこの言葉ことば発しはっし表情ひょうじょう少しすこし見るみることできなかっ
けれどかれ意味いみその調子ちょうし自分じぶんよく呑み込めのみこめ
自分じぶん少しすこし逡巡しゅんじゅんあと兄さんあにさん子供こどもあやすこと知らしらないから云っいっ
あにかおそれ書物しょもつあと隠れかくれ
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自分じぶん黙っだまっかれかお打ち守っうちまもっ
おれ自分じぶん子供こどもりょう成すなすことできないばかりじゃない自分じぶんちちははさえりょう成すなす技巧ぎこう持っもっないそれどころ肝心かんじんわがつまさえどうたらりょう成せるなせるいまだ分別ぶんべつつかないこのねんなるまで学問がくもん御蔭みかげそんな技巧ぎこう覚えるおぼえる余暇よかなかっ二郎じろうある技巧ぎこう人生じんせい幸福こうふくするためどう必要ひつよう見えるみえる立派りっぱ講義こうぎさえできりゃそれすべて償っつぐなっあるから好いよいさあ 自分じぶんこう云っいっ様子ようす次第しだい退却たいきゃくしよう
ところあに中止ちゅうしする気色けしき見せみせなかっ
おれ講義こうぎ作るつくるためばかり生れうまれ人間にんげんじゃないしかし講義こうぎ作っつくったり書物しょもつ読んよんだりする必要ひつようあるため肝心かんじん人間にんげんらしい心持こころもち人間にんげんらしく満足まんぞくせることできなくなっしまっなけれ先方せんぽう満足まんぞくくれることできなくなっ 自分じぶんあに言葉ことばうらかれ周囲しゅうい呪うのろうよう苦々しいにがにがしいあるもの発見はっけん
自分じぶんなん答えこたえなけれならなかっ
しかしなん答えこたえ好いよい見当けんとうつかなかっ
ただ問題もんだいれいねー事件じけん再発さいはつ大変たいへん考えかんがえ
それ卑怯ひきょうようある問答もんどうそこ流れ入るながれいること故意こい防いふせい
兄さんあにさん考えかんがえ過ぎるすぎるから自分じぶんそう思うおもうですそれよりこのよしみ天気てんき利用りよう今度こんど日曜にちようぐらいどこ遠足えんそくしようじゃありませ あにかすかうん云っいっ承諾しょうだく示ししめし
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