行人

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自分じぶんつと立ったっねーあと廻っまわっ
彼女かのじょ半間はんまゆか坐っすわっ
むろ狭いせまい彼女かのじょおびあたりほとんどすぎ床柱とこばしらすれすれあっ
自分じぶんその一足いっそく割り込んわりこん彼女かのじょ窮屈きゅうくつそう体躯たいくまえほう屈めかがめなんなさる聞いきい
自分じぶん片足かたあしちゅう浮かしうかしままゆかおくから黒塗くろぬり重箱じゅうばこ取り出しとりだしそれ彼女かのじょまえ置いおい
いちどうです こう云いいいながらふた取ろうとろうする彼女かのじょ微かかすか苦笑くしょう洩らしもらし
重箱じゅうばこなか白砂はくしゃとうふりかけ牡丹餅ぼたもち行儀ぎょうぎよく並べならべあっ
昨日きのう彼岸ひがん中日ちゅうにちあること自分じぶんこの牡丹餅ぼたもちよっ始めてはじめて知っしっある
自分じぶんねーかお真面目まじめ食べたべませ尋ねたずね
彼女かのじょたちまち吹き出しふきだし
あなたずいぶんその御萩おはぎ昨日きのうたくから持たもた上げあげじゃありませ 自分じぶんやむ苦笑くしょうながらいち頬張っほおばっ
彼女かのじょ自分じぶんため湯呑ゆのみちゃ注いそそいくれ
自分じぶんこの牡丹餅ぼたもちから彼女かのじょ今日きょう墓詣りはかまいりためさと行っいっその帰りがけかえりがけここ寄っよっ云ういうことようやく確めたしかめ
大変たいへん御無沙汰ごむさたますあちらべつ変りかわりありませええありがとうべつ 言葉ことばやもめ彼女かのじょただ簡単かんたんこう答えこたえだけあっその後そのあと御無沙汰ごむさたって云えいえあなた番町ばんちょうずいぶん御無沙汰ごむさた付け加えつけくわえことさらに自分じぶんかお
自分じぶん全くまったく番町ばんちょう遠ざかっとおざかっ
始めはじめたくことなっいちしゅう一度いちど行かいかない済ますまないくらいだっいつ中心ちゅうしん離れはなれよそからそっと眺めるながめるくせ養いやしない出しだし
そうその眺めながめいる少くすくなくともこと起らおこら済んすんいう自覚じかく無沙汰むさた無事ぶじ原因げんいんよう思わおもわ
なぜもとようちょくちょくいらっしゃらない少しすこし仕事しごとほう忙しいいそがしいもんですからそう 本当ほんとう そうじゃないでしょう 自分じぶんねーからこう追窮ついきゅうれる堪えこらえなかっ
そのうえ自分じぶん彼女かのじょ心理しんり解らわからなかっ
ほかひとどうあろうともねーだけこのてんおい自分じぶん追窮ついきゅうする勇気ゆうきないもの今までいままで固くかたく信じしんじからある
自分じぶん思い切っおもいきっあなた大胆だいたん過ぎるすぎる云おういおう思っおもっ
けれどしつ相手あいてから小胆しょうたん見縊らみくびらいる自分じぶんついに卑怯ひきょうあっ
本当ほんとう忙がしいいそがしいですじつこのから少しすこし勉強べんきょうしよう思っおもっそろそろその準備じゅんび取りかかっとりかかっもんですからつい近頃ちかごろどこ出るでるならないですぼくいつまでこんなことぐずぐずたってつまらないからいまうち少しすこしほん読んよんおいもう少しすこしたら外国がいこく行っいったい思っおもってるから この答えこたえ後半こうはん本当ほんとう自分じぶん希望きぼうあっ
自分じぶんなんいいからただ遠くとおく行きいきたい行きいきたい願っねがっ
外国がいこくって洋行ようこうねー聞いきい
まあそうです結構けっこう父さんちちさん願っねがっ早くはやくやっ頂きいただきなさいめかけ話しはなし上げあげましょう 自分じぶん無駄むだ知りしりながらそんなことまぼろしよう考えかんがえ彼女かのじょ言葉ことば聞いきいきゅうお父さんおちちさん駄目だめですくび振っふっ見せみせ
彼女かのじょしばらく黙っだまっ
やがて物憂ものうそう調子ちょうしおとこ気楽きらくもの云っいっ
ちっとも気楽きらくじゃありませっていやなれどこ勝手にかってに飛んとん歩けるあるけるじゃありませ
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