彼岸過迄

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幼稚園ようちえん行くいくなななる男の子おとこのこともえもんついじん太鼓たいこようもの持っもっ宵子よいこさん叩かたたか上げるあげるからいで連れつれ行っいっ
その千代子ちよこ巾着きんちゃくよう恰好かっこ赤いあかい毛織けおり足袋たび廊下ろうか動いうごい行くいくかげ見つめみつめ
その足袋たびひもさき丸いまりいぼうついそれしょういさなあし運ぶはこぶたびぱっぱっ飛んとん
あの足袋たびたしか御前ごぜん編んあんやっだっええ可愛らしいかわいらしい 千代子ちよこそこ坐っすわっしばらく叔父おじ話しはなし
そのうち曇っくもっそらから淋しいさびしいあめ落ちおち出しだし思うおもうそれ見る見るみるみるおと立てたてそら坊主ぼうずなっ梧桐ごどうしたたか濡らしぬらし始めはじめ
松本まつもと千代子ちよこ申し合せもうしあわせよう硝子がらすこしあめいろ眺めながめ手焙てあぶり翳しかざし
芭蕉ばしょうあるもんから余計よけいおとする芭蕉ばしょうよく持つもつものこのから今日きょう枯れるかれる今日きょう枯れるかれる思っおもっ毎日まいにちこういるなかなか枯れかれない山茶花さざんか散っちっ青桐あおぎりはだかなっまだ青いあおいからなあみょうこと感心かんしんするから恒三こうぞう閑人ひまじんって云わいわれるその代りかわり御前ごぜん叔父おじさん芭蕉ばしょう研究けんきゅうなんか死ぬしぬまでできっこないないそんな研究けんきゅうなんかけど叔父おじさんうち父さんちちさんより全くまったく学者がくしゃわたし本当ほんとう敬服けいふく生意気なまいき云ういうあら本当ほんとうあなたってなん聞いきい知っしってるですもの 二人ふたりこんなはなしいるただいまこのほう見えみえなりまし云っいっ下女げじょいちつう紹介状しょうかいじょうようもの持っもっ松本まつもと渡しわたし
松本まつもと千代子ちよこ待っまっいでいままた面白いおもしろいこと教えおしえやるから笑いわらいながら立ち上ったちのぼっ
いやまたこないだみたい西洋せいよう煙草たばこなんかたくさん覚えさせおぼえさせちゃ 松本まつもと何になんに答えこたえ客間きゃくまほう行っいっ
千代子ちよこ茶の間ちゃのま取っとっ返しかえし
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台所だいどころすでに夕飯ゆうはん支度したく始めはじめ見えみえ瓦斯がす七輪しちりん忙がしくいそがしく青いあおい吐いはい
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しまい自分じぶん一人ひとり食べるたべる云っいっ千代子ちよこからさじ受け取っうけとっ彼女かのじょまた丹念たんねんさじ持ち方もちかた教えおしえ
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そう持つもつない叱らしかられるきっと御供ごくよう平たいひらたいあたま傾げかしげこう
こう
聞き直しききなおし
それ千代子ちよこ面白おもしろがっなんへんくり返さくりかえさいるうちいつも通りとおりこう
半分はんぶん言いかけいいかけ心持こころもちよこ大きなおおきな千代子ちよこ見上げみあげ突然とつぜんみぎ持っもっさじ放り出しほうりだし千代子ちよこひざまえ俯伏なっ
どう 千代子ちよこなんつか宵子よいこ抱き起しだきおこし
するまるで眠っねむっ抱えかかえようただおうぐたりだけ千代子ちよこきゅう大きなおおきなこえ出しだし宵子よいこさん宵子よいこさん呼んよん
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