彼岸過迄

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とにかくぼく千代子ちよこ両方りょうほうとも物心ものごころつかない当時とうじからすでにこういうきずなあっ
けれどそのきずなぼく二人ふたり結びつけるむすびつけるうえおいすこぶる怪しいあやしいきずなあっ
二人ふたり固よりもとよりてん上るのぼる雲雀ひばりごとく自由じゆう生長せいちょう
きずな綯っなっひとさえ確としかとそのはし握っにぎっいるなかっだろう
ぼく怪しいあやしいきずないう文字もじ奇縁きえんいう意味いみここ使うつかうことできない深くふかくははため悲しむかなしむある
ははぼく高等学校こうとうがっこう這入っはいっ時分じぶんそれなく千代子ちよここと仄めかしほのめかし
そのころぼく色気いろけあっ無論むろんある
けれど未来みらいつまいう観念かんねんまるであたま無かっなかっ
そんなはなし取り合うとりあう落ちつきおちつきさえ持っもっなかっ
こと子供こどもからいっしょ遊んあそんだり喧嘩けんかたりほとんど同じおなじいえ生長せいちょう違わちがわない親しみしたしみある少女しょうじょ余りあまり自分じぶんきん過ぎるすぎるためはなはだ平凡へいぼん見えみえ異性いせい対するたいする普通ふつう刺戟しげき与えるあたえる足りたりなかっ
これぼくほうばかりあるまい千代子ちよこおそらく同感どうかんだろう思うおもう
その証拠しょうこ長いながい交際こうさい前後ぜんご通じつうじぼくいまだかつておとこ彼女かのじょから取りとりこきかわ経験けいけん記憶きおくすることできない
彼女かのじょからぼくろう泣こうなこうしよういろ使おうつかおうつね変らかわらない従兄じゅうけい過ぎすぎないある
もっともこれ幾分いくぶん純粋じゅんすい気象きしょう受けうけ生れうまれ彼女かのじょ性情せいじょうから出るでるそこなるまたぼくほど彼女かのじょ知りしり抜いぬいいるものない単にたんにそれだけ男女だんじょ牆壁しょうへき取り除けとりのぞけられるわけものあるまい
ただ一度いちどしかしこれあと話すはなすほう宜かろうよかろう思うおもう
はは自分じぶんいうことみみかりなかっぼく羞恥しゅうちいえ解釈かいしゃく再びふたたび時期じき待つまつものごとくこの問題もんだいふところ収めおさめ
羞恥しゅうちぼくいえ否定ひていする勇気ゆうきない
しかし千代子ちよこあるから羞恥しゅうち取っとっはは全くまったく反対はんたい事実じじつ認めみとめ同じおなじことある
要するようするはは未来みらい対するたいする準備じゅんびいうかんがえからぼく二人ふたりなるべくなか善くよく育て上げようそだてあげよう育て上げようそだてあげよう力めりきめ結果けっか男女だんじょ二人ふたりしだい遠ざからとおざから
そう自分じぶん知らしら
それ知らしらなけれならないようぼく全くまったく残酷ざんこくあっ
そのこと語るかたるぼく実際じっさい苦痛くつうある
はは高等学校こうとうがっこう時代じだい匂わしにおわし千代子ちよこ問題もんだいぼく大学だいがくねんなるまでじっとふところ抱いいだいまま一人ひとり温めあたため見えみえあるばん春休みはるやすみころはな咲いさいいううわさあっあるばんそっとぼくまえ出しだし見せみせ
そのぼくだいぶ大人おとならしくなっ静かしずかその問題もんだい取り上げとりあげ裏表うらおもてからていねい吟味ぎんみする余裕よゆうでき
ははそのただ遠くとおくから匂わにおわせるだけなく自分じぶん希望きぼう正当せいとう形式けいしき与えるあたえること忘れわすれなかっ
ぼくなん心なくこころなく従妹じゅうまいぞくからいや答えこたえ
はは千代子ちよこ生れうまれくれろ頼んたのんおいから貰っもらったらいいだろう云っいっぼく驚ろかしおどろかし
なぜそんなこと頼んたのん聞くきくなぜわたくし好きすき御前ごぜん嫌うきらうはずないから赤ん坊あかんぼう応用おうよう利かりかないよう挨拶あいさつぼく弱らよわら
だんだんそこ押しおし見るみるしまい涙ぐんなみだぐんじつ御前ごぜんためない全くまったくわたくしため頼むたのむ云ういう
しかもどうそれははためなるその理由りゆういくら聞いきい語らかたらない
最後さいごなん千代子ちよこいや聞かきか
ぼくいやなんない答えこたえ
しかし当人とうにんぼくところ来るくるなし田口たぐち叔父おじ叔母おばぼくくれたくないからそんなこと申し込むもうしこむ止しよしほう好いよい先方せんぽう迷惑めいわくするだけから教えおしえ
はは約束やくそくから迷惑めいわく構わかまわないまた迷惑めいわくするはずない主張しゅちょうむかし田口たぐちちち世話せわなったり厄介やっかいなったりれい数え挙げかぞえあげ
ぼくやむとくないからこの問題もんだい卒業そつぎょうするまで解決かいけつ着けつけおこう云いいい出しだし
はは不安ふあんうら一縷いちるもち現わしあらわし顔色かおいろもういちへんとくと考えかんがえくれ頼んたのん
こういう事情じじょう今までいままではは一人ひとりふところ抱いいだい問題もんだいその後そのあとぼく抱かかかえかなけれならなくなっ
田口たぐちまた田口たぐちりゅう同じおなじ問題もんだい孵しかえしつつあるなかろう
たとい千代子ちよこほかえんづけるいざ云ういう場合ばあい一応いちおうこちら承諾しょうだく得るうる必要ひつようあるすれ叔父おじ気がかりきがかり違いちがいない
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