彼岸過迄

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もっともちちかんくせ強いつよいわり陰性いんせいおとこだっはは長唄ながうたうたうよりほか大きなおおきなこえ出せだせない性分しょうぶんぼく二人ふたり言いいいそうそう現場げんばちち死ぬしぬまでいまだかつて目撃もくげきことなかっ
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あのくらいほか悪口わるぐち露骨ろこついう松本まつもと叔父おじさえいまだにそう認めみとめないもの信じしんじ切っきっいる
ははぼく対したいし死んしんちち語るかたるごと世間せけんおっとうち最ももっとも完全かんぜん近いちかいものよう説明せつめいやまない
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けれど慈愛じあい充ちみちおやちちぼく紹介しょうかいする彼女かのじょ態度たいど全くまったく一変いっぺんする
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それぼく中学ちゅうがくから高等学校こうとうがっこう移るうつる時分じぶんむかしある
いまいくらはは強請っねだっ同じおなじはなしくり返しくりかえし貰っもらっそんな気高いけだかい気分きぶんとてもなれない
ぼく情操じょうそうそのころから学校がっこう卒業そつぎょうするまで近頃ちかごろ小説しょうせつ出るでる主人公しゅじんこうようまるで荒みすさみ果てはてだろう
現代げんだい空気くうき中毒ちゅうどく自分じぶん呪いのろいたくなるぼく時々ときどきもう一遍いちぺん好いよいからははまえああ云ういう崇高すうこう感じかんじ触れふれたいいうもち起すおこす同時どうじその望みのぞみとても遂げとげられない過去かこゆめあるいう悲しみかなしみ湧いわい来るくる
はは性格せいかく吾々われわれむかしから用いもちい慣れなれ慈母じぼいう言葉ことば形容けいようさえすれそれ尽きつきいる
ぼくから見るみる彼女かのじょこのため生れうまれこのため死ぬしぬ云っいっ差支さしつかえない
まこと気の毒きのどくあるそれはは生活せいかつ満足まんぞくこのいちてんのみ集注しっちゅういるからぼくさえ充分じゅうぶん孝行こうこうできれこれ越しこし彼女かのじょないある
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そうぼくことつね市蔵いちぞうちゃん市蔵いちぞうちゃん云っいっ兄さんあにさんけっして呼ばよばなかっ
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とにかくいもうと死んしん
それからぼくちち対したいしはは対したいし一人息子ひとりむすこあっ
ちち死んしん以後いごいまぼくはは対したいし一人息子ひとりむすこある
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