彼岸過迄

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それからカ月かげつばかりぼく田口たぐちいえ近寄らちかよらなかっ
ははさえ心配しんぱいなけれそれぎり内幸町うちさいわいちょうあし向けむけすまし知れしれなかっ
たといはは心配しんぱいする単にたんに彼女かのじょ対するたいするかかりねんだけ問題もんだいならあるいはぼく気随きずいいざいう極点きょくてんまで押し通しおしとおし知れしれなかっ
ぼくそんなかぜ生みつけうみつけられおとこある
ところカ月かげつすえなっぼく突然とつぜん自分じぶん片意地かたいじ翻がえさひるがえさなけれ不利ふりいうことつい
じつ云ういうぼく田口たぐち疎遠そえんなれなるほどははあらゆる機会きかい求めもとめますます千代子ちよこ接触せっしょくするよう力めりきめ出しだしある
そういつなんどきぼく最ももっとも恐れるおそれる直接ちょくせつ談判だんぱん千代子ちよこ向っむかっ開かひらかない限らかぎらないよう漸々ぜんぜん形勢けいせい切迫せっぱくある
ぼく思い切っおもいきっこの危機ききいち帳場ちょうばさき繰り越そうくりこそう
そうその決心けっしんともまた田口たぐち敷居しきい跨ぎまたぎ出しだし
かれぼく遇するぐうする態度たいど固よりもとより変りかわりなかっ
ぼくかれ対するたいする様子ようすまたカ月かげつまえ通りとおりあっ
ぼくかれごとく笑っわらったりふざけたり揚足あげあし取りとりくらたり
要するようするぼく田口たぐち費やしついやし時間じかん騒がしいさわがしいくらい陽気ようきあっ
本当ほんとうところいうぼく少しすこし陽気ようき過ぎすぎある
したがっはらなかつね空虚くうきょ努力どりょく疲れつかれ
鋭どいするどい注意ちゅういたらどこにせかげ射ししゃし本来ほんらい自分じぶん醜くみにくく彩っあやったろう思うおもう
そのうち自分じぶん気分きぶん自分じぶん言葉ことば半紙はんし裏表うらおもてようぴたり合っあっ愉快ゆかい感じかんじさとしただ一遍いちぺんある
それ家例かれいねん一度いちど田口たぐち家族かぞく揃っそろっ遊びあそび出るでる出来事できごとあっ
ぼく知らしらおく通っとおっ千代子ちよこ一人ひとり閑静かんせい坐っすわっいる驚ろいおどろい
彼女かのじょ風邪かぜ引いひい見えみえ咽喉のど湿布しっぷ
つねない蒼いあおい顔色かおいろ淋しくさびしく思わおもわ
微笑びしょうながら今日きょうあたし留守るす云っいっぼく始めはじめみな出払っではらっことつい
その彼女かのじょ病気びょうきせいいつもよりしんみり落ちついおちつい
ぼくかおさえ見るみるきっと冷かしひやかし文句もんく並べならべどう悪口わるぐち云い合いいいあい挑まいどまなけれやまない彼女かのじょ一人ぼっちひとりぼっちみょう沈んしずんいる姿すがたときぼくふと可憐かれんこころ起しおこし
それせき着くつくいな優しいやさしい慰藉いしゃ言葉ことばくちから出すだすなく自からみずから出しだし
する千代子ちよこ一種いっしゅへん表情ひょうじょうあなた今日きょう大変たいへん優しいやさしい奥さんおくさん貰っもらったらそういうかぜ優しくやさしくあげなくっちゃいけない云っいっ
遠慮えんりょなく親しみしたしみだけ持っもっぼく今までいままで千代子ちよこ対したいしいくら無愛嬌むあいきょう振舞っふるまっ差支さしつかえないもの暗にあんに自からみずから許しゆるしいうことこの始めはじめつい
そう千代子ちよこなかどこ嬉しうれしそういろ微かかすかながら漂ようただよう認めみとめ自分じぶん悪かっわるかっ後悔こうかい
二人ふたりほとんどいっしょ生長せいちょう同じおなじよう自分じぶんとおる過去かこ振り返っふりかえっ
むかし記憶きおく語るかたる言葉ことばたがいくちびるから当時とうじ蘇生そせいせる便びん洩れもれ
ぼく千代子ちよこ記憶きおくぼくより遥かはるか勝れすぐれ細かいこまかいところまで鮮やかあざやか行きいき渡っわたっいる驚ろいおどろい
彼女かのじょいまからよんねんまえぼく玄関げんかん立ったっままはかまほころび彼女かのじょ縫わぬわことまで覚えおぼえ
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